ホーム > カレイ > カレイ釣り基本編

カレイ釣り基本編

2010 年 3 月 27 日

本州の釣りはマコガレイとイシガレイが中心だが、北の海には多種多様なカレイがいて、オヒョウは大物ゲームフィッシュ。

画像(121x66)

カレイ目カレイ科ツノガレイ属


寒帯から亜寒帯まで多種多様

 フランス料理のムニエルでお馴染みのシタビラメ(ソール)や超高級魚ヒラメなどカレイ一族は多士済々。本家筋のカレイ科に属する魚だけでも30種余りもいる。
 北緯45度の北海道から24度の沖縄八重山まで、東北から南西に連なる日本列島は面積こそ狭いが、列島を取り囲む海は広大で、北からは寒流系の親潮、南からは暖流系の黒潮が流入、多彩な魚族をはぐくんでいる。その中でカレイは列島の隅々にまで分布し、水産業にとっては重要魚種であり、レクリエーションの釣りでも極めて馴染み深い魚だ。
 亜寒帯の沖縄にもカレイはいる。ダルマガレイやテンジクガレイなどだが、北に行くほど種類も量も増し、親潮流域の三陸、特に北海道は種類、資源量ともに圧倒的に多く、まさにカレイ王国なのである。
 多彩なカレイ一族だが釣りの相手として親しまれているのは「ヌマガレイ」「アブラガレイ」「ホシガレイ」「マツカワ」「ソウハチガレイ」「アカガレイ」「ムシガレイ」「メイタガレイ」「スナガレイ」「マガレイ」「マコガレイ」「イシガレイ」「クロガシラ」そして「オヒョウ」などだが、関東から西の地方でカレイ釣りといえばマコガレイとイシガレイを指し、釣りの世界で両種の人気は“全国区”だ。
 このカレイ、一様に体型は扁平で有色側に目が集まり、海底に密着する側は白っぽいなど、底棲に順応している。目は生まれつき片側にあるのではなく、幼生の頃は普通の魚と同様に両側にあるが、成長につれて片側に寄るのだという。
 この目の位置で一般に「左ヒラメ右カレイ」と両種を見分ける一つの目安にしている。有色側を上にして置いた時、目が右側ならカレイ、左側ならヒラメというわけだ。
 でも立派なカレイ一族であるヌマガレイは左側に目があり、アリューシャン列島には左右両方、アラスカには右側のもいるというからややこしい。口の形状も一般にカレイは「おちょぼ口」とされている。がマツカワガレイ、ホシガレイ、ムシガレイ、ソウハチガレイ、アカガレイなどはヒラメのように大口だ。口の形状や歯の強弱で、魚の捕食の仕方が変わり、ハリの型も異なってくるので画一的な“常識”には注意したい。サイズは普通大型のマツカワなどでも80cm以下。多くは20〜40cmだ。  が、何事も例外はあるもので、オヒョウだけは別格、特に雌は巨大で隊長2m、畳より大きく、重量も優に100kgを超す。オヒョウはIGFA認定のゲーム・フィッシュで、世界記録は1991年、アラスカのジュノーで釣れた166.92kg。アイスランドでも150kgオーバーが釣れている。

日本の中心魚種マコガレイ

マコガレイ(Pieuronectes yokohamae)は日本のレクリエーションのカレイ釣りの中心魚種だ。
北海道から九州まで、主に内湾、内海の浅海の砂泥底にいて、イソメ類や甲殻類等を捕らえて50cm余りに育つ。産卵期は冬。晩秋の頃、抱卵して肥えたマコガレイを江戸前釣り師達は特に“霜月マコ”と呼び珍重した。東京湾は関東のカレイ釣りでは中心的な存在で、三角ビシによる江戸前伝統の小突き釣りなどもあり、神奈川、東京、千葉の1都2県にまたがる沿岸各地から10月から4月にかけてのシーズン中は連日乗合船が出漁した。
 それが昭和30年代の経済の高度成長にともなう工場排水の流入や沿岸埋め立てなどによる環境悪化で東京湾の魚族は激減、比較的悪水に強いとされるカレイすら激減した。 

画像(180x136)・拡大画像(300x228)

50年代に入って、ようやく環境改善が本格的に叫ばれ、東京湾にもぼつぼつと魚達が帰って来て、カレイも昔日ほどではないが戻って来た。それとともに釣技も船上から投げて釣るスタイルが主流となり、今日に至っている。
 また、“城下ガレイ”の名で知られるカレイは大分県の別府湾の特定の海域で捕れるマコガレイである。マコガレイによく似た種に「マガレイ(Pleuronectes herzensteini)」がいる。ベテランのアングラーでも見分けがたいほどよく似ているが、マコガレイのほうが目の間隔が広くて目の間に鱗があるのに対して、マガレイの目の間隔は狭くて鱗がなく、口辺がやや突き出ている。マガレイのほうが北に多い。

投 げ 釣 り

画像(73x180)・拡大画像(150x366)

マコガレイは関東、関西方面のサーフキャスターにとってキスと並ぶ主要対象魚だ。特に産卵期をはさんで秋から春にかけては波静かな内湾や内海に寄るので、遠投技術がなくても釣れ、釣り場は砂浜のほか、護岸や堤防など概して足場もよいので、釣り場には女性の姿も多い。
 竿は3.9mから4.5mの投げ釣り専用竿。オモリ負荷20〜30号。スピニングリールは遠投性を追求した専用機種でなくても大型の通常機種で十分だ。
 ラインは20〜25mごとに色を変えて染め分けたナイロンの3〜5号150〜200m。3号ラインには3〜12号、5号ラインには5〜12号のテーパーライン(チカラ糸)を10m直結。15〜25号投げ釣り用テンビンオモリ(カイソウテンビンなど)にミキ糸5号60cm。上部はスナップ・スイベルをつけて30cmほど2本撚り。その30cm下から3号10cmのエダス。先端は3号40cmのハリスを直結、ハリはカレイバリ10〜12号赤焼き。ミキ糸先端のハリス結節部にガン玉。 
 餌はイワイソメ、フクロイソメ、コガネムシ、アオイソメ、エラコなど。ゴカイもよい餌だが投入の際、ショックで切れてしまうので投げ釣りには向かない。
 いずれの餌もハリいっぱいに刺してハリ先を出し、3cmほどたらして切る。カレイもほかの多くの魚と同様に上げ潮に岸寄りする傾向が強く、一般に「上げ潮五分から満潮を経て下げ三分」くらいまでが潮時とされている。
 とはいえ、釣り場の海底地形や構造物の存在などで底潮でも釣れる所はあり、一概に断言できない。結局は、ある程度実績のある釣り場に通い、その釣り場の潮の流れ、海底地形といった“特性”を把握することが釣果向上につながる。
 カレイは砂泥底に棲んでいる。しかし船道の傾斜底とか、捨て石回り、岩礁帯、藻場、養殖棚などの際や、汀線とほぼ並行して海底に走る砂の起伏「ヨブ」。また堤防先端部などで潮が渦状に巻いている所など、地形的、潮流的に“変化”している所はプランクトン、小動物など餌が豊かで、カレイもその周りに集まってくる。こうした所へ仕掛けを投入したらラインを張り気味にして置き竿で魚信を待つ。
 この釣りは1人で2本の竿を扱うケースが多く、その場合は投点を遠近左右にずらして投入する。2、3分待って魚信がなければ、仕掛けを手前に引き、再び置き竿で待つ。こうして投入線上の線を探り、魚信がなければ、投点をずらして投入する。置き竿の釣りだが、投入して、そのまま置きっぱなしにするようでは多くを望めない。
 魚信は概して微弱である。まったく気づかずに糸を張ったら釣れていたとか、ハリに掛かった魚が手前に泳いでラインがたるむケースもある。とにかく釣れたら、ラインの色や角度で釣れたポイントを頭に入れ、その周辺を重点的に探る。

船釣り

画像(141x180)・拡大画像(300x382)

関西、西日本では伝統的にカカリ釣りが、関東では流し釣りが盛んだが、昭和60年代以降、東京湾でもカカリ釣りの船が増えている。
<<カカリ釣り>>
 アンカーを入れてポイントに船を据えて釣る。船上からの投げ釣りが主流でタックルはキス竿か、やや強調子の1.8〜2.1m、オモリ負荷15号先調子竿に小型スピニングリール。3号ナイロンライン。テンビン仕掛け。テンビンはステンレス、パイプテンビンなどで、オモリは15〜20号。2号ハリス80cm、上部10cmは2本撚り、先端から35cmの所に2号15cmのエダス。ハリはカレイバリ8〜10号。
 ハリスに赤やピンク系のビニールパイプを通したり、ハリのチモトに赤系ビーズ玉、蛍光玉などを装着したり、ガン玉オモリで“はわせ効果”を狙ったり・・・さまざまなバリエーションがあり、いずれも潮の清濁、速さ、太陽光の投射角と強弱といった自然条件に対応したものである。が、標準型は言い換えれば万能型で、多くの釣り場で一応平均点は期待できる。

画像(150x148)

何の釣りにも通じることだが、仕掛けは“シンプル・イズ・ベスト”であり、デコレーションにあれこれ気を遣う前に、手まめに餌をつけ替えて“常に鮮度のよい餌”を心がけたい。だから餌は箱ごと日光にさらすようなことは避けて、冷たいクーラーに収納、小出しにした餌も、必ず日陰に置くなど餌の鮮度には気を配る。
餌はアオイソメが最も一般的。イワイソメ、フクロイソメ(イチヨセ)、コガネ虫のほか、北の海ではエラコ虫も多用されている。いずれもハリいっぱいに刺してハリ先を出し、5〜6cmたらす。
 ゴカイも素晴らしい餌だが、軟らかく切れやすいので投げ込む時にはソフトに行う。なお、カレイが食い渋り気味の時は、頭部の固い所を切り取ってハリに刺す。

画像(320x154)・拡大画像(450x217)

餌はアオイソメが最も一般的。イワイソメ、フクロイソメ(イチヨセ)、コガネ虫のほか、北の海ではエラコ虫も多用されている。いずれもハリいっぱいに刺してハリ先を出し、5〜6cmたらす。
 ゴカイも素晴らしい餌だが、軟らかく切れやすいので投げ込む時にはソフトに行う。なお、カレイが食い渋り気味の時は、頭部の固い所を切り取ってハリに刺す。

投入は乗り合い船など大勢が乗っている船上の場合、他人にハリを引っかけるなどの危険を避ける意味でアンダースローで行う。
 竿を持つ手を船の外側に出し、手首のスナップをきかせて投入する。この場合、潮の流れの向きを見て潮下90度の扇形の範囲内に投入する。潮に向かって投入すると、ラインに仕掛けがからみやすくなる。
 仕掛けが底まで沈んだら直ちに糸を張って50cmほど手前に引き、仕掛けを海底に馴染ませる。次いで、ごくスローに手前に引き、少し置いて、またジリジリと引き・・・。探って船下まで仕掛けが寄ったら投入し直す。
 この釣りも1人2本竿が多く、1本はホルダーに置き竿にし、ほかの1本で探るというパターンがある。置き竿は一見、無精に見えるが、潮が速い時など以外に効果的で2本とも置き竿で釣るケースもある。
魚信を察知・・・というケースが最も多い。一呼吸置いて大合わせする。

画像(100x122)

神奈川県茅ヶ崎市在住の服部善郎氏がカレイ釣りをお届け致しました。



カテゴリー: カレイ タグ:
コメントは受け付けていません。