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2010 年 4 月 のアーカイブ

キス釣りの基本

2010 年 4 月 27 日 Comments off

楽しい投げ釣り ―シロギスへの挑戦―

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スズキ目キス科キス属


「投げ釣り」ってどんな釣りだろう
1 海釣りにはどんな種類があるの?

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海釣りの種類には、船による「沖釣り」、岩場や岩礁上からからの「磯釣り」、堤防や波止場で行う「堤防釣り(波止釣り)」などに分けられ、これは、釣る場所を捉えて釣りの種類を区分したものです。また、釣る場所が異なるということは、そこに棲む魚の種類も当然異なります。釣り人達は自分の釣りたい魚を目標に、ウキを使ったり、トローリングで釣ったり、電動リールを使って1000メートルもの深い海に挑んだりと、目指す魚を相手に色々な道具や釣法を用いて釣ります。従って、これら一つ一つが釣りの種類にもなるし、直接、タイ釣り等のように、魚の名前をそのまま釣りの種類としてしまうことも多いのです。このように、釣りとは、可也いい加減さがありますが、反面、この曖昧さが釣りそのものを楽しくしているのかも知れませんね。

2 投げ釣りは磯釣りの仲間なのか!

さて、本題の「投げ釣り」ですが、「投げ釣り」を広義に捉えると、「磯釣り」の仲間に入るかも知れません。しかし、投げ釣りを単純に場所で決めたような云い方は適切ではないと思います。 
投げ釣りは、何といっても「シロギス」が本命だからなのです。このシロギスは砂や砂利層が広がる海底スレスレのところを、群れを作ってエサを求めながら泳いでいます。従って、釣りの方も、「ジャリメ」などのシロギスが好むエサの付いた仕掛けを海底に沿って、ズルズルと引いたり止めたりしながら、いわゆる「サビいて釣る」釣りだからです。投げ釣りは、投げる場所が岩場でも堤防でも、何処でも構いません。ただし、投げた先で「根掛かり」してしまうような「磯」では釣りにならないのです。このように、「投げ釣り」は場所を指した呼び方でなく、「投げて釣ることができる釣り」として、一つの独立したジャンルを形成していると云うのが正解でしょう。

投げ釣りの基本は砂浜だ!

投げる場所は何処でもいいと云いましたが、これはベテラン達の話です。何と云っても「投げ釣り」の基本は「砂浜」です。慣れない人が 磯場なんかで投げれば、その瞬間に後ろに垂らした「仕掛け」が引っかかってしまう筈です。湘南などの砂浜海岸なら、投げる場所も海底も砂浜ですから安全ですし、直ぐ波口まで「サビく」ことも出来ます。実は、本格的な投げ釣りの歴史は、未だ50年位とそれほど古くはありません。湘南の大磯海岸に始まった釣りだと云われますが、今では気軽さも手伝って全国に広がっています。また、各地に投げ釣りクラブがあって、全国的な組織もあります。これから釣りを覚えるにも、色々な海岸に遠征するにも釣りクラブに加入するのが近道でしょう。身近なクラブに入ることを是非お勧めします。

投げ釣りはスポーツだ!

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投げ釣りの人気を探ってみましょう。実は、投げ釣りは、単に「静かな釣り」でも「あそびの釣り」と云う事ではありません。投げ釣りは、全身を使って強い動きを必要とする「投げる動作」と、静かに相手を誘って「釣る」と云った「動と静の二つの世界」をマスターしてこそ、始めて一つの釣りになります。このように、多くのスポーツに要求される用件を備えた、歴然たる「スポーツ」の世界に位置付くものなのです。特に、投げることでは、安全性や正確性とともに、いかに遠くに投げるかなどを競う「キャスティング競技」があり、200メートル以上も投げる豪腕の持ち主すら居ます。驚いたことに、今ではこのキャスティング競技は、世界大会まで開催されているのです。将来、オリムピック競技になったら良いですね。
この他、投げ釣りの良さは、安直に釣行出来ること、環境に優しい釣りであること、釣った魚が美味しいことなどがあります。しかし、何といっても一番の魅力は、「投げることも、釣ることも難しい。」というのがベテラン達の共通した認識だと思います。

30センチ以上の大型シロギスを「まぼろしの尺ギス」と言う?

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シロギスの大きさは、20センチ前後がレギュラーサイズです。また、秋には「ピンギス」といって10センチ位の小ギスがたくさん釣れます。しかし、釣り人の多くは日本記録と言われる「36.4センチ」を破ろうと一発狙いで幻の「尺ギス」に挑んだり、「束釣り(100尾)」以上を狙ったり、一投で数尾をまとめて釣ってしまう「連釣り」を目指したりしています。そしてベテランの多くは、その日の「釣行」にそうした目標を絞り仲間達と競い楽しんでいます。また、「釣果(ちょうか)」を、「尾数(びすう)」や「大きさ」、「重さ」などで競う、「投げ釣り大会」が各地で開かれ賑わっています。腕を磨く積りでそうした大会に参加するのも良いものです。

魚の気持ちが一番解ってくれるのは釣り人?

さて、大切なことを一つお願いしておきます。簡単なことですが守られていないことも事実ですから、この際、敢えて申し上げておきたいのです、これは釣り人の義務だと心に命じて釣行してほしいし、また、普段の生活の中でも意識して行動して頂きたいのです。
一言で云えば、「海や海岸を汚さないこと。魚をいたわること。」です。楽しく素晴らしい釣りができるのは、そこに元気な魚が居るから出来るのです。我々人間だって、環境が悪く汚れた空気の中では病気になってしまいます。人間なら、薬を飲んだり医者に掛ったり、住む場所をかえたり・・でも、更に汚染が広がり環境が悪化すれば、やがては他の生物とともに死に絶えることでしょう。
魚達はどうでしょう。環境の整った海なら、釣り人が少々余分に釣ったとしても自然の力で「再生産」され続けることができるのです。しかし、海が化学物質等で汚染され、魚体を侵し始めたらどうでしょう。病気になっても魚の医者なんか居ないし、魚は人間みたいに強くはありません。悪い環境から逃れて住む場所を移動したとしても、そこは今迄居た所と違い、エサも無く、水温や水圧の変化で棲息することは出来ないでしょう。
いま、人間社会では地球規模で環境を守ろうと努力しています。人間が食料とする大切な魚も守らなければならない状況が来ているのです。ですから、魚のことを一番知っている釣り人の一人一人が今の環境問題を知り、小さなことでよいから一つずつ改善に向かって行動することが大切なのです。

ゴミを捨てるな!不要な魚は逃がしてやろう!

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そこで、具体的にお願いしたいことが二つあります。一つは、海を汚してしまうゴミを絶対に捨てないこと。残さないで持ち帰ることです。特に問題となるのは、化学的に作られたビニール製品やプラスチック製品です。また、殺虫剤やシャンプーなどの化学薬品は魚にとって毒薬です。これらは、河川に投棄され海に流れ出るものが殆どですから、私たちは日常生活の中で常に感心を持ち、未然に防ぐよう関与していくことが必要です。
二つには、生ある魚は生き物であると云うことです。投げ釣りでは、釣るシロギスは食べることも目的の一つであると思います。しかし、いわゆる「外道」と云われる目的外の魚で不要なものは、例え、毒魚であってもリリースしてやりましょう。 第一、毒魚だなんて決め付けることはありません。恐らく、これ迄の歴史の中で、魚が陸に上がり人間に悪さを仕掛けたなんてあるはずは無いのです。人間がかってに毒魚だと裁判を下してしまったのです。捨てる魚だ、毒魚だと云われた魚を釣ってしまった彼方!じっと魚の顔や体を見て御覧なさい。天は実に素晴らしい生き物を我々の地球に与えてくれたのか・・分かる筈です。

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最後に!!
 私たちは、やがては自分達の子供や孫子に色々なことを引き継ぎます。その中の一つに、今以上に綺麗な海で、魚が沢山いて、もっともっと楽しい釣りを受け継ぐことが出来たら最高です。皆で努力し、そんな環境づくりに取り組んでいきましょう。ここに、皆さんが一人の釣り人として必ず努力してくれることを期待してやみません。

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今回は、神奈川県平塚市在住の高沢鱚介氏が
キス釣りの基本をお届けしました。

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西湘のキス釣りの古き良き時代

2010 年 4 月 1 日 Comments off

シロギスに魅せられて  

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シロギス ズズキ目キス科キス属

還元・・古き時代を偲びながら・あなたに

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 私の専門領域は、投げ釣りによるシロギス釣りである。
投げ釣り発祥の地である西湘の二宮海岸で、育ちながら覚えた釣りで、彼これ40数年が経つ。
古き時代の頃をときおり書くのだが、すっかり変わってしまった今の環境の中で、何でそんな古い戯言を・・という方がいる。
 しかし、良き時代のことを語らずに居られない訳がある。
何故ならば、釣れないこと、魚が少ないことなどを当然のこととして受け止めてしまっている若者の、その馴らされてしまった姿がおぞましいからだ。

海は元来、もっともっと豊かで、活力に満ちているもの。文明の裏側の矛盾に気付かず発展した20世紀のツケが、地球上で一番広く大きい自然環境の浄化装置である「海」までを汚染し、あらゆる生命体に悪影響を与えている。それらの実態は多くの学者が指摘し、改善に取り組んでいる。
学者先生方は難しく表現するが、多くの釣り人はもっと単純に、しかも正確にその事を理解している筈だ。「魚が釣れなくなった、魚が居なくなった、赤潮が、青潮が、・・まさに環境汚染に違いない」と言ったように。
体験上、海を一番身近に知っているのは釣り人なのだから、そうしたことをヒソヒソと陰で語らずに、もっと声を大にして叫んでみたらどうだろう。
一方、釣り人が環境を破壊していると指摘する声がある。
 確かにマナーの悪さは否めない。
しかし、釣り人が環境破壊をしているなどと、大げさに言われることは無い。
良識ある多くの釣り人は、今や身辺の環境改善に誠意努力し行動している。 
 
 汚染された水の終末処理を担わされた海は、今や瀕死の状態にある。だが、人間の知恵と努力で、時間は掛かろうとも必ずや治癒できる筈だ。
21世紀は地球規模で環境の時代と云われ、わが国でも政経産学が協働してこれに向かいつつある。まだ、それほど関心を持たない釣り人にお願いしたい。
釣り人として出来る行動はあまりにも小さいが、身近なことからでよい、具体の行動をしてほしい。

  • 釣り場にゴミを捨てない。
  • 多量なコマセは撒かない。
  • 不要な殺生はしない。

そんなことから実践してみてほしい。頭で解っていても行動が伴わない・・それでは困るのだ。
しかし、そうした初歩的な入り口に馴染んでさえしまえば、後は自分の家庭や地域、さらには社会システムの中に潜んでいる多くの環境問題に気付くだろう。是非、お互いにがんばって改善の輪を広げて行こうではないか。 

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さて、40数年前の西湘の海はどうだったのだろう。
それは美しく、透明で、シロギスの旬には、40〜50メートルの距離で、平均サイズ20センチ級が、半日釣って30数尾は堅かった。
素もぐりで魚を追いかけたこともある。
背後の斜面は黒松林、砂浜は広く白砂で覆われていた。


今,西湘バイパスが通ってしまった土地には、野バラやハマエンドウ、ハマヒルガオやボウフが咲き、秋グミや野ブドウが実っていた。そしてチドリやアオジなど多くの小鳥達が巣造りし、声高らかにさえずっていた。
そんな釣りを今思い出す。
 若者たちよ!これからは少しずつ満足した釣りが出来るようになるだろう。
 しかし、それを単に偶然だと喜ばず、自分が行動した見返りだと考えるようにしてほしい。
あなた方が還暦に達し、あなた方の子供たちや孫たちが釣りをする頃には、私自身が楽しめた古き良き時代以上に、素晴らしい釣りが出来るようになるだろう。
傷付き、老いてしまった母なる海には、愛を持って報い、若返えさせてあげたい。
ずうっと永遠に、魚との戯れが続けられるように・・これからも努力したい。

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今回は、神奈川県平塚市在住の高澤鱚介氏が
西湘のキス釣りの古き良き時代の想いをお届けしました。
次回から高澤鱚介氏のシロギスシリーズをお届け致します。

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