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西湘のキス釣りの古き良き時代

2010 年 4 月 1 日

シロギスに魅せられて  

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シロギス ズズキ目キス科キス属

還元・・古き時代を偲びながら・あなたに

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 私の専門領域は、投げ釣りによるシロギス釣りである。
投げ釣り発祥の地である西湘の二宮海岸で、育ちながら覚えた釣りで、彼これ40数年が経つ。
古き時代の頃をときおり書くのだが、すっかり変わってしまった今の環境の中で、何でそんな古い戯言を・・という方がいる。
 しかし、良き時代のことを語らずに居られない訳がある。
何故ならば、釣れないこと、魚が少ないことなどを当然のこととして受け止めてしまっている若者の、その馴らされてしまった姿がおぞましいからだ。

海は元来、もっともっと豊かで、活力に満ちているもの。文明の裏側の矛盾に気付かず発展した20世紀のツケが、地球上で一番広く大きい自然環境の浄化装置である「海」までを汚染し、あらゆる生命体に悪影響を与えている。それらの実態は多くの学者が指摘し、改善に取り組んでいる。
学者先生方は難しく表現するが、多くの釣り人はもっと単純に、しかも正確にその事を理解している筈だ。「魚が釣れなくなった、魚が居なくなった、赤潮が、青潮が、・・まさに環境汚染に違いない」と言ったように。
体験上、海を一番身近に知っているのは釣り人なのだから、そうしたことをヒソヒソと陰で語らずに、もっと声を大にして叫んでみたらどうだろう。
一方、釣り人が環境を破壊していると指摘する声がある。
 確かにマナーの悪さは否めない。
しかし、釣り人が環境破壊をしているなどと、大げさに言われることは無い。
良識ある多くの釣り人は、今や身辺の環境改善に誠意努力し行動している。 
 
 汚染された水の終末処理を担わされた海は、今や瀕死の状態にある。だが、人間の知恵と努力で、時間は掛かろうとも必ずや治癒できる筈だ。
21世紀は地球規模で環境の時代と云われ、わが国でも政経産学が協働してこれに向かいつつある。まだ、それほど関心を持たない釣り人にお願いしたい。
釣り人として出来る行動はあまりにも小さいが、身近なことからでよい、具体の行動をしてほしい。

  • 釣り場にゴミを捨てない。
  • 多量なコマセは撒かない。
  • 不要な殺生はしない。

そんなことから実践してみてほしい。頭で解っていても行動が伴わない・・それでは困るのだ。
しかし、そうした初歩的な入り口に馴染んでさえしまえば、後は自分の家庭や地域、さらには社会システムの中に潜んでいる多くの環境問題に気付くだろう。是非、お互いにがんばって改善の輪を広げて行こうではないか。 

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さて、40数年前の西湘の海はどうだったのだろう。
それは美しく、透明で、シロギスの旬には、40〜50メートルの距離で、平均サイズ20センチ級が、半日釣って30数尾は堅かった。
素もぐりで魚を追いかけたこともある。
背後の斜面は黒松林、砂浜は広く白砂で覆われていた。


今,西湘バイパスが通ってしまった土地には、野バラやハマエンドウ、ハマヒルガオやボウフが咲き、秋グミや野ブドウが実っていた。そしてチドリやアオジなど多くの小鳥達が巣造りし、声高らかにさえずっていた。
そんな釣りを今思い出す。
 若者たちよ!これからは少しずつ満足した釣りが出来るようになるだろう。
 しかし、それを単に偶然だと喜ばず、自分が行動した見返りだと考えるようにしてほしい。
あなた方が還暦に達し、あなた方の子供たちや孫たちが釣りをする頃には、私自身が楽しめた古き良き時代以上に、素晴らしい釣りが出来るようになるだろう。
傷付き、老いてしまった母なる海には、愛を持って報い、若返えさせてあげたい。
ずうっと永遠に、魚との戯れが続けられるように・・これからも努力したい。

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今回は、神奈川県平塚市在住の高澤鱚介氏が
西湘のキス釣りの古き良き時代の想いをお届けしました。
次回から高澤鱚介氏のシロギスシリーズをお届け致します。

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