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マダイ釣り基礎知識

2009 年 1 月 1 日 Comments off
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神奈川県茅ヶ崎市在住の服部善郎氏が
マダイ釣り基礎知識をお届け致します。!


マダイは日本の船釣りのシンボル的な対象魚。
ローカル色豊かで、多彩な釣技もアングラーの心をとらえている。
姿も美しく、言うまでもなくグルメ度も一級品。


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スズキ目 タイ科 マダイ属

 世界のビッグゲーム・フィッシングのシンボル魚はカジキだが、日本の沖釣りではマダイだ。
 地球的スケールで見た場合、マダイはシイラやボラに比べてグローバルな存在とはいいがたい。
日本列島や朝鮮半島南部、オーストラリア、ニュージーランド、東アフリカ、地中海など、ある程度限られた海域に分布しており、ボラやシイラに比べると”ローカル魚”といえる。
 だが、あの桜色にサファイアブルーの輝点をちりばめた華麗な魚体、風格。
フッキングしてからも荒からず、弱からず・・・・。
ちょうどワルツのような上品な釣趣。
そして食味の良さ。
どの角度から見ても、マダイは日本人にとって”魚の中の魚”なのだ。 

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日本列島マダイ分布図 そして北は津軽海峡から南は薩摩まで、日本列島の自然条件が異なる広範囲な海域に分布し、他魚の勝る多彩でローカル色豊かな釣技が生まれ、伝えられてきた。
マダイは、九州で3月、関西や関東圏の海では4月から5月。
そして北の青森県などでは6月の声を聞くと沖から産卵のため浅場に上がってくる。
 この時期、産卵に耐える体力作りのため、活発に補食活動し、やがて餌が豊かで身の防御もしやすい岩礁域を拠点に夏から秋を過ごす。

 適水温は16度〜22度、ベストゾーンは18度〜20度で、イワシ、イカナゴなど小魚からイカ、タコ、貝類、管虫類まで幅広く補食する。
 生活圏は主に底層だが、春はまだ底潮が冷たいので浮くケースが多く、秋〜初冬は逆に底潮の方が中層より暖かいので、底から離れない。
 こうして春から秋、初冬まで浅海で生活したタイは、冬が迫って日一日と水温が低下すると、厳しい越冬生活に備えて、盛んに補食活動して体力を蓄え、比較的水温が安定している沖の深みへと落ちてゆく。

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こうした季節回遊を繰り返しながら成長し、15kgくらい、年齢も40歳くらいまで生きるといわれている。
 一般に大きさにより、1kg以下を「小ダイ」、1kg〜2.5kgくらいまでを「中ダイ」と呼び、市場性はこのサイズが最も高い。
 2.5kgオーバーは「大ダイ」と呼ぶ。
 体型は側扁し、体高があって美しい曲線を描く。
背鰭は12棘10軟条で、棘は大きく硬い。
尾柄は、太からず細からず、続く尾鰭は大きく、後縁は大きく切れ込み、端は帯状に薄黒く彩られ、これがチダイなどの他のタイ科の魚にない特徴となっている。
 全体的にプロポーションは均整がとれ。よく発達した鱗に覆われたボディは華麗なサク色で、目のまわりや背部にはサファイアブウル−の小斑が散り、実にあでやか。
 この美しさが老成につれ薄れ、特に雄は全体的に黒っぽくなり、額骨も癒合して”オデコ”に変化する。
 歯は、犬歯と臼歯を持ち、特に上下両顎の2列の臼歯は強く、時に丈夫な釣り針も曲げられたり折ったりするほどだ。

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資  源  量  の  減  少
 ところで、市場性が高く、人気もトップの魚だけに、漁・釣りを問わず捕獲量は増え、これに反比例して資源量は減少傾向にある。
 そこで、1970年代後半から全国的な規模でマダイの稚魚放流事業が実施され、その先進県の1つである神奈川県の例を見ると、1977年、「栽培漁業センター」が設立されて以来、毎年80〜100万尾のマダイを卵からふ化、9cm前後まで育てて沿岸域に放流し続けている。
 神奈川県水産試験場の今井利為専門研究員によると、「人工ふ化したマダイの鼻孔は天然物より大きいことが判明。これをもとに県下で釣れたタイについて調査したところ、半数近くが放流ダイでした」という。
 今や日本のマダイ釣りは”放流の上に成り立っている”のが実状といわざるを得ない。
 となれば、放流事業には多額の予算が必要なので、「釣り人も応分の負担を」、そして「尾数制限」とか「小型はリリース」等々を真剣に実行すべき時を迎えているのだ。

釣期は春の「乗っ込み」、秋の「落ち」を2大ピークに、春から初冬まで。
春は底潮がまだ冷たいので、浮上しがちだが、秋は底から離れない。から釣りでは、「春は高めのタナ、秋は底狙い」
餌は、サルエビ、アカエビ、シバエビ、トラエビ、ブツエビ、シラサエビ、イソスジエビといったエビ類。アミ類、オキアミ。サバガニ等のカニ類まで含む甲殻類。イ貝、アケミ貝などの貝類。ユムシなどの環形動物。イワムシ、イソゴカイ、アオゴカイ、ゴカイ等の管虫類。シャコやスナモグリ。イワシ、コオナゴといった小魚やサンマ、イカなどのカットベイトやヤリイカ、ヒイカやマダコなどの頭足類。と実に多種多彩な餌を口にする。
エビ、カニなど、硬い餌は噛み砕くので、丈夫なハリを。オキアミ、虫類など柔らかい餌は吸い込むので軽量で小型のハリを。
瞬発力はあるが、”引き”のパターンは単調なので、比較的細いハリスで対応可能だ。小ダイで2〜3号。中〜大ダイで5〜6号



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ロ ー カ ル 色 豊 か な 多 彩 な 釣 技
 こうした事柄に加え、釣技というものは、釣り場の自然条件や比較的容易に入手可能な餌の種類、これに伝統技術等がからみ合って確立される。
 そしてタイ釣りは全国各地、それこそ浦を1つ隔てただけでハリのタイプやサイズ、オモリの重さ・型、仕掛け全体のタイプ等が微妙に異なり、これがローカル色と個性、そして単一魚種としては世界に例を見ない多彩な日本のタイ釣りを支えている。
 これら多彩な釣技を系統別にまとめてみると以下の様になる。
【胴付き系】
 主に小ダイは圧倒的に胴付き仕掛けが多用されているが、青森、伊勢湾、紀淡、錦江湾等、中・大ダイ狙いのフィールドでもある。

【テンヤ系】
 東京湾を中心とした伝統的釣技だが、遠く離れた南の鹿児島・錦江湾でもテンヤによる”据え玉”の伝統を継承している。

【ビシマ系】
 関西・西日本海域に広く定着している。瀬戸内海や九州方面では玉オモリに2本カケバリの”玉道具”が重用されているが、和歌山方面ではカブラが主流。

【テンテン系】
 主に青森県下の津軽、下北の海で盛んな釣技。テンテンは小魚やエビ等のイミテーションでテイザーとカケバリを兼ねた北の海に特有のタックルだ。

【イカ餌系】
 俗にイカダイ釣りといい、活イカは、エビとともにマダイ釣りの餌の双璧だ。
 テンヤやカブラに装着したり、胴付き仕掛けにつけたり、地方によりスタイルはさまざま。

【フカセ系】
 潮を読み、風を計算に入れて船を据え、ポイントに餌を流し込む釣りで、経験と技術がものをいう釣技。主に瀬戸内海、山陰地方で盛んな釣りだ。

【手操り系】
 いわは、タイのバーチカル・ジギングである。ビシマ糸で手操ってカケバリにアクションを伝えるが、ロッドとリールでも可能だ。

【チョキチョキ系】
 九州で開発された釣技で、主に真珠などの養殖棚に船をかけ、独特の超軟竿で釣る。

【テンビン系】
 東北から北陸にかけて日本海では、テンビン仕掛けにイソメ餌等で釣るとことが多い。主に夜釣り。

【コマセ系】
 カモシ釣り
  魚肉のミンチの撒き餌に魚のカットベイトをハリ  に刺してタイを浮かせて釣る。

 底撒き釣り
  中紀などに伝わる釣技。専用撒き餌籠に活エ   ビを収めて底へ送る。
 オキアミ、アミ・コマセの釣り
  昭和50年代、南極産オキアミが釣界に導入され、以来圧倒的な成果で今やマダイ釣りの主流釣技となっている。
様々な釣技が全国にある。



 今年1回目の釣り名人は、マダイ釣りの基本的特徴を紹介させて頂いたが、釣方は全国各地に様々な方法があり、今後シーズン毎に様々な釣法を紹介していきたいと思う。

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