アナゴ釣りの基本

2009 年 6 月 10 日 Comments off
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アナゴ釣りの面白さは、誰にでも簡単に釣れる夜もあったり慣れた釣り人でも釣れなかったりすることだ。怪魚クロアナゴ釣りもある。

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ウナギ目アナゴ科クロアナゴ属

マアナゴが日本のアナゴの代表
 日本列島沿岸の海に棲むアナゴ一族の中で食用、あるいは釣りの対象となるのは「ゴテンアナゴ」「ギンアナゴ」「クロアナゴ」「マアナゴ」の4種だ。
 このうちギンアナゴは本州の中部から南の海にいる小型種で、食味はやや劣る。
 逆にクロアナゴは一族の最大種で2m余りに育ち、食味は劣るものの豪快な釣趣が魅力だ。ゴテンアナゴは平均50cmほど、茶色がかった銀色で目の後ろに2つの斑紋を持つ。食用になる。本州のほぼ全域広く棲んでいるがアマチュアが専門に釣る所はない。
 マアナゴ(Conger myriaster)は産業的にも釣りの世界でも、日本のアナゴ族を代表する種だ。
測線の白い点がまるで棒バカリの目盛りの様に整然と並んでいるところから市場などでは「ハカリメ」とも呼び、三陸や北海道などでは、「ハモ」と呼んでいる(本物のハモはハモ科で別種。北海道にはいない)。
 北海道から九州、朝鮮半島まで広範な岸に近い砂泥底の海に棲み、小魚やカニ、エビ類などを捕らえて最大1m余り(雌)に育つ。
 夜行性で昼間は砂泥底の穴にひそみ、首だけ出してじっとしているが、暗くなると穴から出て盛んに補食活動をする。だから、曇りや雨の日、また濁り潮の時は昼間でも釣れるが夜釣りが主である。

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北海道の”ハモ”の投げ釣り
 道南函館から噴火湾を経て、日高の浦河あたりまで・・・。太平洋に臨む浜や漁港、商港などの堤防は晩夏から秋にかけての夜、ハモ釣りマニア達で賑わう。
 ホッケやカレイ、アブラコ釣りなどが一服状態の初秋の頃は特にハモ釣りのピークで、夜ごと釣り場に通うフリークも少なくない。
 この釣りは、?月が小さく暗い夜、?凪(なぎ)の2つが条件で、これに日没から午後10時くらいの間に満潮という時間帯がからめば期待は一段と高まる。
 タックルは一般の投げ釣り様。3.9〜4.2m程度の投げ竿に大型スピニングリール。ラインは20mごとに色変え染めのナイロン、フロロカーボン等の3号。先端は3〜12号のテーパーの力糸。
 仕掛けもごく一般的な胴付き2本バリのカレイ用などで特別な仕様ではない。ただ人により、ハリのチモトに蛍光玉をつけたり、小型のサイリューム(ケミホタルなど)を装着したりする程度だ。
餌はイソメ、サンマやイカの切り身でイソメはハリに通し刺しにして3cmほどたらし、イカはチョン掛け、サンマは柔らかくて投入の際、ショック切れするので皮側からハリ先を入れ、ついで内側から皮側へハリ先を出す。
 タックルは2セット用意。距離、角度を変えて投入、スタンドに立て掛ける。
 ロッドの穂先にもサイリュームを装着すると微妙な魚信をキャッチしやすい。
 この釣りに”誘い”は不要。じっと置き竿にして穂先を見続けるうち、「ククッ」と小さな魚信、ここで合わすと失敗する。続く「ググッ」という力強い魚信で合わす。
 平均サイズは40〜50cmだ。

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東京湾の乗り合い釣り
 アナゴ釣りは江戸前伝統釣技の一つで、脈々と現代に受け継がれている。
 シーズン中は連夜、神奈川、東京、千葉の1都2件にまたがる沿岸各地から大型乗り合い船が稼働するが、こうした海は日本列島でも東京湾奥のみ。
 アナゴ釣りの人気は高い。
 ?どの船宿も出船時間は午後6時前後。帰港は10時頃なので勤め帰りのサラリーマンやOLも気軽に利用できる。?貸し釣具、仕掛け、餌などすべて船宿で用意しているのでビギナーも利用しやすい。?ビギナーでも数尾は釣れ、しかも獲物はすべて船頭が船上でさばいてくれる。?街の灯を見、涼しい潮風に吹かれて釣る・・・。合間のビールは極楽、ゴクゴク。
 釣りシーズンは晩春4月からスタート。6月,7月に「ツユアナゴ」の盛期を迎える。この時期のアナゴは”数よりサイズ”で親指より太いサイズが釣れる。
 盛夏の頃は一服状態だが、秋に再び盛期を迎える。特に昔から池上の本門寺のお会式の頃が盛期といわれてきたが、秋は”サイズより数”の季節。「メソッ子」とか「エンピツ」と呼ばれる小型の数釣りが楽しめる。

 このアナゴを釣る竿。昭和40年頃までは専用のアナゴ竿が市販されていた。
 全長80cm~1m。鯨穂、グラスなどの穂先を持つ和竿で穂先の調子は今流でいえば、15~20号負荷。強調子の糸掛け付きで2本を一対として使用した。
 また竹を加工した自製竿も多く使われていたが、どうしても穂先の調子が強く、魚影が濃かった昔は、これでも支障なく釣れたが現在では無理だ。
 今でもアナゴ専用の和竿を特別に注文したり、自製する江戸前釣り師もいるが、一般には1.6~1.8m、オモリ負荷10〜15号程度の先調子キス竿などを流用している。この場合リールは小型スピニングだ。
 いずれもミチ糸はナイロン5号30m。いずれもスイベルで3~4号サキ糸80cmを結び先端に15〜20号釣鐘型オモリ。ハリスは3号10cmと5cmの松葉型2本ハリスか、3号7〜8cmの1本ハリス。ハリスは蛍光タイプでカバーする型式が一般的だ。
 ハリスはフトコロが狭く、軸が長いウナギバリ10〜11号、流線型10号など。
 サキ糸に5mmくらいに短くカットしたパイプを2個通してオモリの2〜3cm上にケミホタルをつける。

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夕方、河岸払いすると船は富岡沖、羽田沖、千葉沖、長浦沖、木更津沖などの釣り場に急ぐ。この間に釣り人達は、?竿に糸を通し、仕掛けを結び、?竿掛けを船べりにセット、?子べりの下の棚に餌のアオイソメを入れた箱や手をぬぐう濡れタオル、ランプ、ペンチやハサミ、ハリスやハリ、発光体等の予備を置き、?足元に古新聞を丸めて底に敷いたバケツ。
 これで準備万端整う。
 ジェット機が発着する羽田空港や、京葉工業地帯など暮色を増す東京湾奥の風光に目を奪われるうちに釣り場に到着。アンカーを入れて釣り始めだ。
 青イソメは太めは1尾、細めは2〜3尾をいずれも全長5cmくらいに小さく房掛けにハリスに掛けて底に沈める。

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2本の竿はオモリが底の位置で水平になるよう糸を調節、左右で交互に2,3cm、オモリで底を小突く気持ちで竿の上下動を繰り返す。20号オモリで10号負荷の竿だと小突きを穂先が吸収して仕掛けの動きは微妙となり、アナゴを誘えない。強調子の穂先の竿が、この釣りには向いているのだ。
 この小突きのリズムは大切で、その日の魚の活性との関連もあって速めがよい夜、逆にスローテンポがよい夜もあるので、早くその夜の適正テンポを把握することが大切だ。
 ともあれ、一般的には1秒に2回くらいのテンポで上下し、10回に1度くらいの割で、10〜20cmくらい「スゥー」と竿先を上げて、”聞いて”みる。
 魚信を見逃していても餌を呑み込んでいるケースがあるので、時折、様子を見るのだ。
 魚信はいろいろ。いきなりガンガンと竿先をゆすってパッと離してしまったり、「ググッ」と小さな魚信の後、力強く引き込んだり、「ムズムズ」とまるでイヤイヤのようになかなかフッキングしなかったり・・・。

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 とにかくアナゴは簡単に誰にでもやさしく釣れる夜もあるが、概して”エサ盗り上手”なので、慣れた釣り人も合わせのタイミングには苦労する。そこがまたアナゴ釣りの面白さであり、釣り具と餌のつけ方、小突きのリズム、合わせのタイミングなどにより同じ船で竿を並べているのに5尾しか釣れない人の横で50尾も釣ってしまうケースは珍しくないのだ。
 また、食い渋り気味の夜は、ハリスを長めにして前面の海へ投げ込んでおくと向こう合わせで釣れるケースがある。 
合わせがきいてアナゴがハリに掛かったら、竿を立てて手に取り、竿を置いて糸をデッキに手繰り込む。リールなら竿をやや仰角に構えて巻く。そしてアナゴが水面まで浮いたら手を大きく伸ばして船に当てぬように取り込み、左手の親指と人さし指で首根っこをギュッとしっかりと押さえて右手でハリを外し、新聞紙を敷いたバケツに落とす。
 アナゴは暴れるが、新聞紙がクッションになって、外に飛び出すことはない。
 船上は作業灯で結構明るいし、船によっては釣り座に個人用のランプをつけた所もある。が、多くはそこまで装備していないので、ヘッドランプは持参したほうが安心だ。

東京湾のクロアナゴ釣り
 クロアナゴ(Conger japonicus)はトウヘイとかトウスケ等のローカルネームを持つジャンボアナゴだ。
 本州中部から朝鮮半島南部にかけての各地にいて、他のアナゴと異なって岩礁帯や沈船など障害物のある海で鋭い歯を駆使して小魚や甲殻類を襲い、2m余りに育つ。
 東京湾口の第三海堡周辺海域は、自然の礁やカケ上りなど変化に富んだ海底地形で、さらに人工構築にともなう大量の捨て石などが散在、これに湾口特有の急潮が流れて魚族にとって絶好の生活環境を形成している。
 クロアナゴにとっても棲み心地はよいようで昭和30年代には大人の太股級はざらで、時折、醤油樽のようなモンスターも姿を見せた。が、現在はオートバイのタイヤ級で、ぐっと小型化しているが、それでもハリに掛かってからの暴れ方は相当なもので、アナゴのイメージとはかけ離れた迫力に満ちた釣趣だ。
 船はアンカーで据える。釣り場の水深は30〜40mくらい。潮が速いので仕掛けはゴツい。手釣りでラインはポリエステル系30号。スイベルでナイロン30号サキ糸1m。釣鐘型中通し100〜150号ナマリを自製、ハリスはケブラーなど強力糸10cm。
 ハリはタイのテンヤ用親バリやマスタッド92611の6/0など、いずれも軸長系のハリでカエシを落とす。
 餌はサンマ。2つに切ってメン糸か細い銅線でハリにしっかりとくくりつける。
 底までオモリを沈めたら30cm幅に手を上下して海底の餌を踊らせる。
 魚信は概して鮮明で「ググッ」とか「ガッガッ」。たまには「モゾモゾ」といった不鮮明な魚信もあるが、とにかく魚信が伝わってきたら船べりに片足をかけ、腰を折って手を下に伸ばして糸をしっかりとつまむ。
 そして一段と激しい締め込みで体ごと糸をひいて合わせる。
 こう書くと、長い時間のようだが、第1信から合わせまでは5,6秒。早合わせだとフッキングしてもバレたり、待ち過ぎると尻尾を岩にからめるか、テコでも底離れしなくなるので気をつけたい。
 合わせがきいたら一手一手、糸にたるみを与えぬように手繰り上げる。クロアナゴは細長いボデイをくねらせ、ゴロンゴロンと激しく抵抗するが、糸を張って耐え、手繰り続ける。 

クロアナゴは暴れて、啼く
 糸は太い。水面まで浮かせたら一気に船上に抜き上げ、水を張っていない活け間の上に吊す。そしてハリにギャフを掛けて、ハリを立てるとクロアナゴは活け間に落ちる。
 歯がシャープで手をふれるとケガをすることもあるので、ハリはギャフで外すのだ。
 活け間のクロアナゴはドタンバタンと暴れ、時折、「グェー」と啼く。
 夜の海上で、錦蛇のような姿、そしてこの啼き声。気色よいものではないが、大物釣りの迫力だけは味わえる。
 ところで、このクロアナゴ、海外、特にイギリスではコンガ(Conger conger)の名で親しまれている立派なゲーム・フィッシュだ。
 解剖学的にはまったく同一種か否かはわからないが、外見的な特徴や棲息環境などは酷似しており、多分、マダイとゴウシュウ・マダイの違いほどの近似種と確信する。
 ちなみにIGFA認定の世界記録は1991年8月、イギリスのプリマス沖でハンス・クリスチャン・クラウゼン氏が釣った50.12kg!!
 今回の釣り名人は、あなご釣りの基本を紹介しました。

カテゴリー: アナゴ タグ:

クロダイ釣りの基本

2009 年 5 月 5 日 Comments off
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スズキ目タイ科クロダイ属

関西ではチヌと呼ばれる。
多様な釣り場と多彩な技があり、
しかもその奥の深さで、
日本の海釣りでトップクラスの人気魚だ。

神奈川県茅ヶ崎市在住の服部善郎氏がクロダイ釣りの基本をお届け致します。!

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「大胆にして繊細」「好奇心旺盛にして神経質」「素直な反面狡猾」・・・。
 まことにクロダイは、手練手管を弄して純な男を手玉に取る悪女のように強烈な魅力で、アングラーの心をとらえて離さない。
 数ある日本の海の釣魚の中で、クロダイはトップクラスの人気魚なのだ。
 クロダイ(Acanthopagrusschlegeli)は、関東で当歳魚を「チンチン」、2歳魚を「カイズ」(江戸っ子はケーズと呼んで粋がる)、3歳魚以上をクロダイ、老成魚は特に「ネンナシ」と呼ぶ。
 関西では当歳魚を「ババタレ」、2歳魚を「フタツ」、成魚を「チヌ」。中京では幼若魚を「チンタ」。九州では同じく幼若魚を「メイタ」、成魚は「チヌ」の呼称で親しまれ、北海道の南部から九州薩南の島々まで分布している。
 沿岸性の魚で、水深50m以浅の浅海、特に内湾に多く棲息し、河口の汽水域や河川下流の淡水域にまで上るケースも見られる。
 商港や漁港などの埠頭、桟橋、突提、沖提や護岸。湾口部や外海に面した磯。沖の定置網やブイ、養殖棚などの基部。人工漁礁や天然磯周辺の砂底、貝の密生域などが主な生息圏で、マダイほど広範な回遊はしない。
 雑食性で、エビ、カニ、フジツボ、二枚貝、イソメ類、ノリ類からイモ、スイカ、ミカンなど種々雑多なものを口にし、60cm余りに育つ。性質は複雑で、海水浴客の足や、アサリ捕りの舟がマンガで底をかいて舞い上がる砂煙に寄って来るなど好奇心が旺盛な反面、人が堤防を走ると生じる微弱な振動や、夜、ライトの光を少しでも海面に落としたりすると「サッ」と身を隠す神経質な面も併せ持っている。
 また視覚がよいので、潮が澄むと1号程度の細い糸でも警戒してハリを口にしないし、潮が濁っていてもちぢれたハリスなどは”不自然”に映るのか、やはり警戒して餌を敬遠するなど、かなり警戒心が強いはずなのに、投げ釣りの太いハリスの餌に飛びついたり、フクロイソメ(イチョセ)の殻で釣れてしまったり・・・・。意外性を持ち合わせている。 

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タイ科の魚だけに体型はマダイによく似ているが、側扁して吻が尖っている。
 口のサイズは適度で、上下顎に臼歯、顎の前方には2対の円錐歯を持ち、二枚貝など硬い餌も噛み砕く。
 尾柄は丈夫な造りで、尾鰭後縁はやや内に切れ込み、全体的に”整ったフォルム”だ。
体色は背が黒銀、側面がイブシ銀、腹部は白っぽい。個体により差があるが、数本の黒っぽい横縞を持ち、これは幼時ほど鮮明だ。 
 このクロダイの近似種に、「キビレ(キチヌ=Acanthopagrus)」がいる。クロダイより南方系で、本州中部から南に棲息しており、腹鰭、尻鰭と尾鰭の下葉先端部が黄色いこと、体色も全体的に白っぽいことなどでクロダイと見分けがつく。
 習性はクロダイとほぼ同一だが、クロダイ以上に補食は積極的で、釣りやすいといえる。また南西諸島の奄美や琉球列島などには「ミナミクロダイ(Acanthopagrus sivicolus)」がいる。
 姿体はクロダイとそっくりだが、背鰭と側線の間の鱗数が異なるなど、明らかに異種だ。  食性、習性などはクロダイに似ており、沖縄では「チン」、宮古では「ツン」の名で親しまれている。
 水深5から50mくらいの砂底の海に棲息、頭で砂を掘ってエビやイソメ類などを貪欲に補食する。

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チ ン チ ン の フ カ セ 釣 り
 大規模な土地の造成工事などで東京湾のウォーターフロントから”自然”は年々減少しているが、千葉県富津岬から館山に至る内房の海岸線は、自然が比較的良好な状態で保たれている。
 この海に秋風が吹く頃、クロダイの仔、チンチンの群れが岸近くにやって来て9月から11月まで、マニアは南下するチンチンの群れを追って上総湊、竹岡、金谷、保田、勝山、岩井、富浦、館山と釣り歩く。

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磯  釣  り
 
 釣り場は砂地に岩礁などが散在する小磯や堤防など。小磯ではウェーダーを履いて海に立ち込む姿が多く見られる。
 タックルは5.4mの軽量カーボン素材の振り出し渓流竿に1号ミチ糸5m、0.8号70cmと0.4号のハリス40cmをそれぞれ直結。チヌバリ0.5〜0.8号かカイズ6~8号を結び、チモトにガン玉。
 あるいはキス競技用8〜9号(赤焼き)やソデ型8号などの軸長系のハリに0.3~0.5号紙通しオモリを通し、赤染めナイロン撚りり糸の輪をつけた「テンヤ」に仕立てる手もある。
 餌はモエビ、イソメ類で潮が澄み加減ならばモエビ、濁っていればフクロイソメ、イワイソメの細身などが有効だ。
 モエビは尾羽を取って切り口からハリ先を入れ、背側にハリ先を出す。
 また、口から上へ、頭部の薄黒く見える急所を避けてハリを刺す「鼻掛け」もよく用いられる刺し方で、この場合は、尾羽は取らない。
 イソメ類はハリいっぱいに刺して、”たらし”は0.5〜1cmくらい。
 ハリなりに曲げて刺したり、2cm以上も長くたらすのは不可。たらしは0.5cmが標準で、食いが悪い時だけ1cmくらいの長さにする。
 太いイソメは0.5cm幅に輪切りにして使う。潮はソコリから上げ潮にかけて。自分の影に気を付けて竿を振り、餌を沖目に送り込む。
 フワフワと沈むエサのスピードに合わせ、必ずミチ糸に”たるみ”を持たせて竿先を送る。
 餌が底に沈んだら、30cmほど竿先を上げて餌を浮かせ、再びミチ糸をたるませて沈める。
 魚信の多くは、この沈む時に現れる。一定のたるみを保ちながら沈む糸が「止まったり」「横に揺れたり」「ツッ、と速く走ったり」・・・・・。すべて魚信。軽く竿を立てるとチンチンらしいシャープな引きが伝わってくる。
 フカセ釣りのほか、ウキ釣りも面白い。竿はフカセ釣りと一緒で良い。ミチ糸は1.5号。ウキは4号セル玉ウキ、色を変えて2個付けか、ウミタナゴと同じ「シモリ」式でも良い。ミチ糸の長さは竿いっぱい。輪環か自動ハリス止めで0.4~0.6号ハリス40cm。ハリはソデ型6号など。
 餌にはモエビ、細身のイソメ類。ウキ下は底狙い、水深のあるポイントでも”底付近”を探る。

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堤  防  の  釣  り
 堤防の場合は短竿だ。2.1m程度のヘチ竿ニタイコ型リール。1号蛍光ラインに0.4~0.6ごう1mハリス。ハリはカイズ6~8号。ガン玉をチモトに一個。
 餌はモエビ。尻掛けにして堤防すれすれにミチ糸をたるませながら落とし込む。
 カイズ同様にチンチンもカラス貝の付着ゾーンを中心に浮いており、必ずしも一様ではないが、水面から1~1.5mの層を重点的に探る。この層を抜けると後は底だ。
 堤防の落とし込みでは底も重要なポイント。底まで沈めたら3秒ほど待って、ゆっくり30cmほど誘い上げ、再び沈め、魚信がなければ上げて次のポイントへ落とし込む。 
 
 今回の釣り名人は、クロダイ釣りの基本を紹介しました。


カテゴリー: クロダイ タグ:

メバル釣りの船釣り

2009 年 3 月 10 日 Comments off
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神奈川県茅ヶ崎市在住の服部善郎氏が
先月に続きメバル釣りの船釣りをお届け致します。!

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カサゴ目フサカサゴ科メバル属

目の良い魚なので、細いハリスが有利。
さらに海水が濁って凪の日が狙い目だ。
釣趣上々、グルメ度も高い。
当然釣り人の人気も高い。

 ”春告げ魚”といえば一般的に古くからニシンを指すが、沖釣り人は早春の頃、竿に伝わるのどかなメバルの魚信に春の訪れを感じ取る。
 早春といえ、水温は低く、海はまだ冬。
 メバルたちは比較的水温が安定している沖の深い岩礁に群れ寄り、体力を蓄積して産卵に備える。 

 魚が1ヶ所に集中するので、釣りやすいところから沖のメバル釣りは早春から陽春の頃が盛期とされているのだ。
 この沖メバル釣り、全国各地、多彩な釣り方があるが、大きな系統として見ると、「胴付き仕掛けの釣り」「テンビン仕掛けの釣り」「コマセ・サビキ釣り」「ルアー釣り」「イワシなど活き餌の釣り」などがある。

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胴 付 き 仕 掛 け の 釣 り
 全国的に最も普及しているメバル沖釣りのメインの釣技だ。
 船を潮の流れに乗せて流しながら、ピンポイントのような狭いポイントを釣るので、いくらGPSや魚探が優秀でも、正確なヤマ立てをする”腕”の立つ船頭と、そうでない船頭の船では大差がつく。
 一例だが、優秀な船頭になると、まず胴の間からミヨシにかけての釣り人に釣らせ、頃合いを見計らって徐々にトモ方向の釣り人に釣らせ、結局ミヨシもトモも平均して釣らせてゆく・・・・といった加減が可能なのだ。
 こうしたテクニックは当然、潮の流れがゆるやかな小潮廻りの方が行使しやすい。
 もちろん、大潮でも潮のたるみによっては可能だが、短時間なので小潮廻りが有利だ。
 船頭、潮廻り、そしてもう1つメバル釣りを左右する要因が海況だ。
波風が強い時、メバルは岩礁に身を潜めて餌を追わないし、潮が澄むと太めの仕掛けは警戒してフッキング率は大幅に低下する。凪日和を選び、潮色を見て仕掛けの太さを変える等、きめ細かく対応することが大切だ。
 通常、この時期のメバル釣り場は、水深20〜50m位。水深30mまでなら20号オモリ、それより深い所は30号オモリ。ナス型の様に回転しやすいフォルムより、6角とかカジ付き等、回転しにくい型が良い。
 仕掛けはミキ糸1〜2号。35cm間隔で0.6〜1.5号8〜10cmエダスを5〜7本。素材は張りのあるフロロカーボン系が望ましい。
 ハリはモエビなど活エビならやや細長の三浦セイゴ13号など。アオイソメ等管虫類だったら丸型系、細地のメバル専用8号かチヌ3号など。
 ミチ糸もフロロ系で25mいろ変え染めのトヨフロン・スーパーサーフ3号ならベスト。リールは3号100m以上収納可能な小型両軸タイプ。
片軸も悪くないが、いずれも軽量が望ましい。 
 竿は先調子で、長い仕掛けを捌きやすい2.4mオモリ負荷15〜20号。
エビは尾羽を取って姿勢よく直線的にハリに刺す。
イソメ類はチョン掛けにして底へ送り込む。
 竿はやや下向きに構え、着底したら直ちにリールのストッパーをオンにして、ゆっくりと竿先を上げる。底は岩礁で仕掛けが掛かりやすいので、着底したら手際よく操作する。 「コッ」。魚信があったら、そのまま待つ。1〜2秒後に「ググッ」と引き込む。この釣りに”合わせ”は不要。明確な魚信で一気に引き込めば、上バリに掛かったのだから、ゆっくり竿を立てて、下バリへのフッキングを狙う。「グズグズ」と鈍い魚信だから下バリに掛かったのだから、そのまま待つか、少したるませてみる。が、大幅にたるませると、根がかりして、元も子もなくなってしまうので、待つ程度が無難だ。
 晩春から初夏にかけては、夜釣りも楽しい。 夜は釣り場の水深が概して浅いので、竿はオモリ負荷10号、長さ2.1m程度の先調子キス竿でもよい。小型両軸リールに2〜3号ナイロン。仕掛けは1.5号のミキ糸同柄20cmのエダスを2〜3本。オモリは15〜20号。ハリは丸セイゴ13〜15号など。
 アオイソメをチョン掛けに、細めは房掛けにして、底から1〜3mの層を探る。


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メ バ ル の 胴 付 き 釣 り

着底後、すぐに底から離す。
スロー、スローに誘い上げ
魚信が明確なら上バリにヒット。ゆっくり上へ
下バリまで食わせてリーリング。
小さな魚信は下バリにヒット、そのまま待つ。
50cm程糸を繰り出しても良いが、多く出すと根がかりする。

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テ ン ビ ン・コ マ セ サ ビ キ 仕 掛 け の 釣 り
 テンビン仕掛けは、タナ取りに多少の経験がいるが、長いハリスだけに”食い渋った時”は有効だし釣趣も上々だ。
 ハリスは0.6〜1.5号1.5m、エダス1本の2本バリ仕掛けが標準。底まで一気に沈めたら直ちに2m巻き上げ、次いでスローで竿先を上げながら”誘い”をかける。魚信があっても合わせは不要。次は魚信のあった層の前後を重点的に探る。

 日本海のように、白系フラッシャーのサビキのみで釣れる地方や、東京湾久里浜んど、、アミコマセ+サビキで釣る地方など、実状は多種多彩だ。いずれも”多獲”という意味では、有効な釣りで、魚影の濃い地方ではミキ糸3号、エダス1.5号といった太めのサビキで。東京湾等では、ミキ糸2号、エダス1号と細柄で、さらにアミコマセ相乗効果を狙う。この釣りの最大のコツはコマセの幕でサビキを包むことだ。

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イ ワ シ な ど の 活 き 餌 釣 り
 瀬戸内海地方では、イカナゴ活き餌のメバル釣りが盛んだが、関東ではイワシ一辺倒だ。メバルは活き餌に敏感に反応するけれど、イワシは食い込ますまでが大変・・・。
しかしそのハラハラ、ドキドキの経過が逆に魅力となり、関東のイワシメバル釣りの人気は高い。
 仕掛けはテンビ式と胴付き式があり、いずれも0.6〜1号ハリスに渓流のヤマメ、マスバリなど極細地で軽量のハリを使う。

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 ハリをイワシの口から上顎へ、あるいはエラ掛けして素早く海中へ。なにしろこの釣りは、「餌の勢いの勝負」なので素早く手際よく餌をハリに掛けてメバルの泳層に沈める。
 もう一つ、この釣りの決め手は竿の調子。メバルが餌を口にした時から呑み込むまで可能なかぎり竿による抵抗感を与えない軟調子が望ましい。釣りは概して浅いので、オモリは5〜10号程度。だから磯竿1〜2号3.3〜3.6mが、胴調子5〜10号負荷の2.7〜3.3m船竿が多用されている。
「コツッ」。魚信があっても決して合わせてはいけない。はやる心を抑えてそのまま待つ。「ククッ、ククッ、クッ、グイーッ」。ここで竿を立てる。

 今回の釣り名人は、船釣りメバル釣りを紹介しました。

カテゴリー: メバル タグ:

メバル釣り基礎知識

2009 年 2 月 10 日 Comments off
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神奈川県茅ヶ崎市在住の服部善郎氏が
メバル釣り基礎知識をお届け致します。!

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カサゴ目フサカサゴ科メバル属

目の良い魚なので、細いハリスが有利。
さらに海水が濁って凪の日が狙い目だ。
釣趣上々、グルメ度も高い。
当然釣り人の人気も高い。

ヤナギメバル、エゾメバル、ウケクチメバル、キツネメバル、ヨロイメバル、トゴットメバル、ウスメバル、タケノコメバル・・・・。
 メバル姓を名乗る魚はたくさんいるけれど、北海道から九州まで最も広範囲な海にいて、釣り人に最も親しまれているのだが「メバル」だ。
 カサゴとは兄弟分だが、プロポーションはタイに似てぐっとスマート。
大きくつぶらな目、やや丸みを帯びた尾鰭の後縁などが特徴で、水深3〜60mくらいの岩礁底に群れて生活している。
活性が高い時は、海面近くまで浮上、生活圏の幅は広い。
 エビ、カニ類や管虫類、小魚などを捕らえて最大30cm位までに育つ。
 
 ところで、体色は棲んでいる海の深さや岩礁帯、藻場といった底の環境で白っぽいもの等。
金茶色、黒っぽいもの等がいて、釣り人はこれをシロメバル、アカメバル、キンメバル、クロメバル等と呼び、異種という説もあるが、鰭の数や頭の棘の具合、下顎に鱗があること、胸鰭や尾鰭がやや丸みを帯びているといった特徴はまったく同じなので、同一種と見るのが妥当だ。
 とはいえ、釣り人サイドから評価すると、クロメバルは概して大型で釣り場も浅いので、釣趣は上々。
食味も勝る。
 いずれにせよ、メバルは荒い岩礁底に棲んで早春の頃、産卵に備えて起伏の激しい岩礁底の点に等しい様な狭い場所に群れ寄る。
 こうした所は、外敵から身を守るのに都合がよいうえ、シケて底荒れした時も身を潜めやすいし、餌も豊かなのだ。
 メバルは夜も活動、時には水面まで浮上して餌を追うこともまれでない。

メ バ ル 釣 り の 要 点

上記の基礎知識からメバル釣りの要点をまとめてみると。

つぶらな目はダテじゃない。釣り経験から言えることだが、大変目が利く魚なので、ハリスは可能な限り細柄が有利だ。平均サイズ18〜25cmくらいなので、そのパワーを考慮しても、0.6〜1.5号が標準といえる。
口はやや受け口で大きめ。歯はヤスリ状で貧弱。こうしたタイプは餌を一気に飲み込むので、ハリはフトコロが広いタイプが適正だ。丸セイゴ、三浦セイゴなど、やや細長いハリはジャコエビやモエビなど小エビに向き、ゴカイやアオイソメ等の管虫類はチョン掛けなので、細地のチヌやメバル専用バリ。イワシなど活き餌の場合は”餌の勢い”を殺さぬよう、細地で軽量の渓流バリ等が合う。
根掛がかりしやすい岩礁底を狙うので仕掛けは「胴付きスタイル」が有利で予備を十分に。
シケるとメバルは底の根に潜って餌を追わない。荒天は釣り人にとっても”休養日”。メバル釣りはまず凪を釣ることからスタートする。
潮濁りの日、メバルのヒット率は高まる。目の良いメバルも潮が濁っていると”罠”に気付かず、ハリを口にしてしまうからだ。逆に澄んだ潮の日、釣り人は苦労する。打つ手は1つ。ハリスを細柄にすること。といっても0.6号が限界。これより細くすると1尾ならなんとかなるが、2尾以上フッキングしてしまった場合、物理的にハリスは切れてしまう。
早春から春にかけて、メバルが海底の狭いピンポイントに群れる頃は、それそこ船のミヨシ側だけ釣れて胴の間から後ろのはコツともこない。あるいは右舷側はさっぱり・・・・というケースも珍しくない。いくら魚探やGPSの時代といっても、潮の流れを的確に読み、正確に点の上を流せる腕の良い船頭を”釣る”こともこの釣りでは極めて大切だ。
ポイントが点なので、潮が速く流れる日は、潮がたるむ短い間がチャンス。小潮でゆったりと流れる日なら、長時間チャンスは続く。

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堤 防 の メ バ ル ポ イ ン ト

 日中でも釣れるが、魚の活性が高い夜釣りが一般的だ。
 どの釣り方もポイントの目安は

潮通しの良い場所
潮の流れが変化している場所
 磯では直接外洋に面した荒磯よりやや内湾側で水深があり、水道状や沈み根などがあって、さらに潮が巻き込む様な所。
 堤防だったら、曲がり角や崩れている所、トウフ岩がずれている所、大きな捨て石周り、先端部分など。

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堤 防 か ら 主 な タ ッ ク ル
フカセ釣りは、4.5〜6.3m1号調子の振り出し竿に、ミチ糸1.5号、0.8〜1.5号ハリスの2本バリ。ハリは渓流針8号。
餌はモエビ、アオイソメなど。
竿を振り込み、潮に合わせて竿を送り込む。
闇の中五感を研ぎ澄まして、竿を構えるうちに、「?」。
微妙な魚信をとらえて引き抜く。


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ウキ釣りも4.5〜6.3m振り出し竿か、1号調子の磯竿に小型スピニングリール。
1.5号ラインに0.8号ハリス60cm、ハリはチヌ3号
ウキは小型電子ウキで球系でも棒系でも良い。
餌はイソメ類が多用され、ポイントに立って反復、潮なりにウキを流す。

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 投げ釣りは磯竿2号クラスの竿に中型スピニングリール。
2〜3号ラインに重量のある電子ウキ。
0.8〜1.5号ハリスに、ハリはチヌ3号など。
アオイソメ等をチョン掛けして潮の目、反流点等にウキを流し込む。

いずれもコマセは有効で、アミの他コオナゴなどもコマセとして使われている。

 今回の釣り名人は、メバル釣りの基本的特徴及び堤防でのタックルを紹介しました。
次回メバルの時には、船釣りの仕掛けなどを紹介していきたいと思う。

カテゴリー: メバル タグ:

マダイ釣り基礎知識

2009 年 1 月 1 日 Comments off
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神奈川県茅ヶ崎市在住の服部善郎氏が
マダイ釣り基礎知識をお届け致します。!


マダイは日本の船釣りのシンボル的な対象魚。
ローカル色豊かで、多彩な釣技もアングラーの心をとらえている。
姿も美しく、言うまでもなくグルメ度も一級品。


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スズキ目 タイ科 マダイ属

 世界のビッグゲーム・フィッシングのシンボル魚はカジキだが、日本の沖釣りではマダイだ。
 地球的スケールで見た場合、マダイはシイラやボラに比べてグローバルな存在とはいいがたい。
日本列島や朝鮮半島南部、オーストラリア、ニュージーランド、東アフリカ、地中海など、ある程度限られた海域に分布しており、ボラやシイラに比べると”ローカル魚”といえる。
 だが、あの桜色にサファイアブルーの輝点をちりばめた華麗な魚体、風格。
フッキングしてからも荒からず、弱からず・・・・。
ちょうどワルツのような上品な釣趣。
そして食味の良さ。
どの角度から見ても、マダイは日本人にとって”魚の中の魚”なのだ。 

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日本列島マダイ分布図 そして北は津軽海峡から南は薩摩まで、日本列島の自然条件が異なる広範囲な海域に分布し、他魚の勝る多彩でローカル色豊かな釣技が生まれ、伝えられてきた。
マダイは、九州で3月、関西や関東圏の海では4月から5月。
そして北の青森県などでは6月の声を聞くと沖から産卵のため浅場に上がってくる。
 この時期、産卵に耐える体力作りのため、活発に補食活動し、やがて餌が豊かで身の防御もしやすい岩礁域を拠点に夏から秋を過ごす。

 適水温は16度〜22度、ベストゾーンは18度〜20度で、イワシ、イカナゴなど小魚からイカ、タコ、貝類、管虫類まで幅広く補食する。
 生活圏は主に底層だが、春はまだ底潮が冷たいので浮くケースが多く、秋〜初冬は逆に底潮の方が中層より暖かいので、底から離れない。
 こうして春から秋、初冬まで浅海で生活したタイは、冬が迫って日一日と水温が低下すると、厳しい越冬生活に備えて、盛んに補食活動して体力を蓄え、比較的水温が安定している沖の深みへと落ちてゆく。

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こうした季節回遊を繰り返しながら成長し、15kgくらい、年齢も40歳くらいまで生きるといわれている。
 一般に大きさにより、1kg以下を「小ダイ」、1kg〜2.5kgくらいまでを「中ダイ」と呼び、市場性はこのサイズが最も高い。
 2.5kgオーバーは「大ダイ」と呼ぶ。
 体型は側扁し、体高があって美しい曲線を描く。
背鰭は12棘10軟条で、棘は大きく硬い。
尾柄は、太からず細からず、続く尾鰭は大きく、後縁は大きく切れ込み、端は帯状に薄黒く彩られ、これがチダイなどの他のタイ科の魚にない特徴となっている。
 全体的にプロポーションは均整がとれ。よく発達した鱗に覆われたボディは華麗なサク色で、目のまわりや背部にはサファイアブウル−の小斑が散り、実にあでやか。
 この美しさが老成につれ薄れ、特に雄は全体的に黒っぽくなり、額骨も癒合して”オデコ”に変化する。
 歯は、犬歯と臼歯を持ち、特に上下両顎の2列の臼歯は強く、時に丈夫な釣り針も曲げられたり折ったりするほどだ。

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資  源  量  の  減  少
 ところで、市場性が高く、人気もトップの魚だけに、漁・釣りを問わず捕獲量は増え、これに反比例して資源量は減少傾向にある。
 そこで、1970年代後半から全国的な規模でマダイの稚魚放流事業が実施され、その先進県の1つである神奈川県の例を見ると、1977年、「栽培漁業センター」が設立されて以来、毎年80〜100万尾のマダイを卵からふ化、9cm前後まで育てて沿岸域に放流し続けている。
 神奈川県水産試験場の今井利為専門研究員によると、「人工ふ化したマダイの鼻孔は天然物より大きいことが判明。これをもとに県下で釣れたタイについて調査したところ、半数近くが放流ダイでした」という。
 今や日本のマダイ釣りは”放流の上に成り立っている”のが実状といわざるを得ない。
 となれば、放流事業には多額の予算が必要なので、「釣り人も応分の負担を」、そして「尾数制限」とか「小型はリリース」等々を真剣に実行すべき時を迎えているのだ。

釣期は春の「乗っ込み」、秋の「落ち」を2大ピークに、春から初冬まで。
春は底潮がまだ冷たいので、浮上しがちだが、秋は底から離れない。から釣りでは、「春は高めのタナ、秋は底狙い」
餌は、サルエビ、アカエビ、シバエビ、トラエビ、ブツエビ、シラサエビ、イソスジエビといったエビ類。アミ類、オキアミ。サバガニ等のカニ類まで含む甲殻類。イ貝、アケミ貝などの貝類。ユムシなどの環形動物。イワムシ、イソゴカイ、アオゴカイ、ゴカイ等の管虫類。シャコやスナモグリ。イワシ、コオナゴといった小魚やサンマ、イカなどのカットベイトやヤリイカ、ヒイカやマダコなどの頭足類。と実に多種多彩な餌を口にする。
エビ、カニなど、硬い餌は噛み砕くので、丈夫なハリを。オキアミ、虫類など柔らかい餌は吸い込むので軽量で小型のハリを。
瞬発力はあるが、”引き”のパターンは単調なので、比較的細いハリスで対応可能だ。小ダイで2〜3号。中〜大ダイで5〜6号



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ロ ー カ ル 色 豊 か な 多 彩 な 釣 技
 こうした事柄に加え、釣技というものは、釣り場の自然条件や比較的容易に入手可能な餌の種類、これに伝統技術等がからみ合って確立される。
 そしてタイ釣りは全国各地、それこそ浦を1つ隔てただけでハリのタイプやサイズ、オモリの重さ・型、仕掛け全体のタイプ等が微妙に異なり、これがローカル色と個性、そして単一魚種としては世界に例を見ない多彩な日本のタイ釣りを支えている。
 これら多彩な釣技を系統別にまとめてみると以下の様になる。
【胴付き系】
 主に小ダイは圧倒的に胴付き仕掛けが多用されているが、青森、伊勢湾、紀淡、錦江湾等、中・大ダイ狙いのフィールドでもある。

【テンヤ系】
 東京湾を中心とした伝統的釣技だが、遠く離れた南の鹿児島・錦江湾でもテンヤによる”据え玉”の伝統を継承している。

【ビシマ系】
 関西・西日本海域に広く定着している。瀬戸内海や九州方面では玉オモリに2本カケバリの”玉道具”が重用されているが、和歌山方面ではカブラが主流。

【テンテン系】
 主に青森県下の津軽、下北の海で盛んな釣技。テンテンは小魚やエビ等のイミテーションでテイザーとカケバリを兼ねた北の海に特有のタックルだ。

【イカ餌系】
 俗にイカダイ釣りといい、活イカは、エビとともにマダイ釣りの餌の双璧だ。
 テンヤやカブラに装着したり、胴付き仕掛けにつけたり、地方によりスタイルはさまざま。

【フカセ系】
 潮を読み、風を計算に入れて船を据え、ポイントに餌を流し込む釣りで、経験と技術がものをいう釣技。主に瀬戸内海、山陰地方で盛んな釣りだ。

【手操り系】
 いわは、タイのバーチカル・ジギングである。ビシマ糸で手操ってカケバリにアクションを伝えるが、ロッドとリールでも可能だ。

【チョキチョキ系】
 九州で開発された釣技で、主に真珠などの養殖棚に船をかけ、独特の超軟竿で釣る。

【テンビン系】
 東北から北陸にかけて日本海では、テンビン仕掛けにイソメ餌等で釣るとことが多い。主に夜釣り。

【コマセ系】
 カモシ釣り
  魚肉のミンチの撒き餌に魚のカットベイトをハリ  に刺してタイを浮かせて釣る。

 底撒き釣り
  中紀などに伝わる釣技。専用撒き餌籠に活エ   ビを収めて底へ送る。
 オキアミ、アミ・コマセの釣り
  昭和50年代、南極産オキアミが釣界に導入され、以来圧倒的な成果で今やマダイ釣りの主流釣技となっている。
様々な釣技が全国にある。



 今年1回目の釣り名人は、マダイ釣りの基本的特徴を紹介させて頂いたが、釣方は全国各地に様々な方法があり、今後シーズン毎に様々な釣法を紹介していきたいと思う。

カテゴリー: マダイ タグ:

ヒラメ釣り基礎知識

2008 年 12 月 11 日 Comments off
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神奈川県茅ヶ崎市在住の
服部善郎氏が
今が旬のヒラメ釣り基礎知識をお届け致します。!

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カレイ目 ヒラメ科 ヒラメ属

そのグルメ度・釣趣から、日本で最も人気の高い釣魚の一つ。
多彩なテクニックがあるが、早合わせは禁物!

 最高のグルメ度、鯛に勝る希少価値、魚信からフッキングまでのスリリングな釣趣・・・・。
ヒラメは数多い日本の沖釣り対象魚の中でも特に釣り人の心を熱くとらえる第1級の釣魚だ。
 このヒラメ、日本列島には北海道から九州まで、日本海にも太平洋沿岸にも広く棲んでいる。
極めて市場性が高い魚だけに、古くから延縄漁、挽き縄漁、網漁などが盛んで、一時はかなり資源量が減少したが、近年は稚魚放流技術の普及で、魚影はある程度回復し、アマチュアの釣り人達もその恩恵を受けている。
 全国的に見て、アマチュアのヒラメ釣りが盛んなのは、日本海は北陸から、太平洋側は伊豆から北の海で、特に関東では外房や鹿島灘、相模湾、南伊豆、伊豆七島新島周辺などで専門の乗り合い釣り船が出漁している。
 秋の深まりとともに、こうした外房、鹿島灘などからは、連日ホットなヒラメ釣りのニュースが発信されており、東北の海も佳境を迎える。
 ところで釣技は、同じ魚なのに、それぞれの釣り場の
?伝統
?容易に入手可能な餌の種類
?水深、潮流、海底地形
などの自然条件により異なってくる。
ヒラメ釣りも全国各地に多彩なテクニックが伝承、開発されているが、これらを系統的に分けてみると、下のようになる。
?活き餌の食わせ釣り
?テンヤのシャクリ釣り
?テンテン、餌掛けの釣り
?サビキ釣り
?トローリング
 典型的なフィッシュ・イーターであるヒラメ釣りには、理に適った釣り方で全国的に普及しているが、特に関東ではこの釣り方が支流だ。
釣り場によれ、餌により、予測されるヒラメのサイズにより、ハリスの太さ、ハリのタイプとサイズ、仕掛けのスタイル、オモリの重さなどが微妙に異なる。
 そのバリエーションは実に多彩で、同じ基地でも船宿によって異なるし、基地が違えば、たとえ釣り場は一緒でもステ糸の長さ、ハリスの長さ、孫針おスタイルなどが異なり、あのたった1mほどの仕掛けの中に船宿の、そしてアングラーの執念が縫い込まれている。

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活 き 餌 の 食 わ せ 釣 り
 
ハリスは5〜6号で、長さ0.8〜1.2m。
ハリは角形セイゴ16号、チヌ5〜6号、イセアマ13号など。
孫針にトリプルフック#4などを使うケースもある。
ステ糸は3、4号。
長さは0.8〜1.5m。
根掛かりが多い釣り場では、長め。
仕掛け全体のスタイルは胴付き1本バリでミキ糸との接続は親子クレーン、スイベルとビーズ玉による遊導式など。
オモリは50号が多用されているが、70m余りの深場や潮足の速い釣り場では、60〜100号も使う。

 この仕掛けをつなぐラインは神経質なヒラメに可能な限り異常感少なく餌を食い込ませるため、伸び率が高いナイロン系、フロロカーボン系が望ましい。
太さは6〜8号で、長さは150mで十分。
 リールは優れたドラグと平行巻きシステム搭載の中型両軸タイプ。
アブ・アンバサダー5000〜6000シリーズなど。
 そして竿。
この釣りは竿の適否が成績を左右するので特に竿選びには気を配りたい。
 長さ2.7〜3.3m、胴調子だが、穂先が時にソフトなもの。
 50号オモリを吊すと、3.3m竿で中央付近から曲がって穂先が60〜70cm沈むくらい・・・を目安に選ぶ。

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 餌は15cmくらいの小サバがベスト。
ハリ刺しして沈めても勢いを持続し、ヒラメの食い込みも悪くいない。
が、20cmを越すと食い込みが悪く、フッキングしにくくなる。
 最もポピュラーなのがイワシ。
ヒラメの食いはまずまずだが、仕掛けを背負うと弱りが早いので、頻繁につけ替える。
 このほキスも食いは悪くないが、食い込みが遅い。
その点ハゼの方が餌としては上位だ。
 活き餌の釣りは餌の”勢い”が決め手の一つなので、イワシの場合は水バケツに3尾くらい、少量ずつ収め、左の親指と人さし指で頭部を、ほかの指で腹から腹部をソフトに押さえ、素早く鼻孔へハリを横がけ、あるいは口から上顎へ刺す。
 カタクチイワシも上顎の白っぽい部分に横から、あるいは下から上へハリを刺す。
 小サバは背鰭の付け根へ背掛け。
キス、ハゼは鼻掛けだ。

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流し釣りで、船を潮に乗せ、広く海底を釣る。
餌をつけたら素早く海へ。
元気良く泳ぐ様子を確認したら糸をのばす。
イワシの場合、急激に沈めると口が開いて弱ってしまうので、指でリールのスプール回転をコントロールしながら底へ。
 次いで、竿先がやや下向きになる位置で、糸が張るようにリーリング。
オモリを底から”着かず離れず”の状態を保ちながら魚信を待つ。
リールのドラグは5号リーダーn場合、2〜2.5kgのテンションで作動するよう、調節しておく。
 船の流れに従って、海底の起伏も変化する。
常に餌が底から30〜1mの層を泳ぐようにきめ細かく調節しながら、竿を手にして穂先の変化に注意する。
 魚信は様々だが決して小型は”派手”に大型は”渋く”竿先に伝えてくる。
「ガンガン」といった激しい魚信は1kg以下の、俗にソゲと呼ぶ小型に多い。
 これに対して大物は、まず「?」。
構えた竿の穂先が微かに押さえ込まれるようになったり「グイ」と小幅に、しかし力強く引かれたり・・・。
とのかく異常を感じたら、張りすぎず緩めすぎず、魚の引きに応じて竿先を送り込み、ヒラメに異常感を与えずに食わせ込む。
 先人達の「ヒラメ四十」の教えの様に、ヒラメの補食パターンは襲うときは攻撃的で、時には底から5mもジャンプするほどだが、口にすると安全を確かめるのか、食い込みスピードはゆったりしている。
 「ググッ」、5秒置いて「グイッ」、また3秒置いて「グイグイ」。
さんざん釣り人をじらした末に「ググーンッ」と、ひときは力強い引き。
 ここで竿を立てる。
早合わせはこの釣りには禁物なのだ。
 フッキングすると、竿は大きくしなり、心地よい重量感が伝わってくる。
大物は底から数m浮かせても、反転して突っ込むので、ドラグと竿の弾力で対応。
 ポンピングでゆっくりと寄せる。
 水面まで仕掛けが来たら、竿を立て構えた大玉網の中へ魚を誘い込む。
この時、玉網の枠に尾が当たると、ヒラメは驚いてジャンプ一番、底へ一気に帰ってしまうので、取り込みは慎重に丁寧に行う。
 今回は、冬場が旬のヒラメの基本的特徴を紹介させて頂いたが、釣方は全国各地に様々な方法があり、今後シーズン毎に様々な釣法を紹介していきたいと思う。

カテゴリー: ヒラメ タグ:

東京湾展望台 今月の名人コーナーについて

2008 年 12 月 11 日 Comments off

東京湾展望台 今月の名人コーナーは、 2008年度まで茅ヶ崎市在住の 服部義郎氏が代表で活動を行っておりました 特定非営利活動法人 イエローガイズ の ホームページコンテンツの一つでありました 今月の名人コーナーの掲載をBLOG形式で行っております。

服部名人はもちろん、 イエローガイズ時の記事をリニュアルして順次掲載していきたいと思っております。

カテゴリー: お知らせ タグ:

シロギスに魅せられて 

2008 年 11 月 10 日 Comments off
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神奈川県平塚市在住の高澤鱚介氏が
西湘のキス釣りの古き良き時代の想いをお届け致します。!

シロギスに魅せられて  
還元・・古き時代を偲びながら・あなたに

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シロギス ズズキ目キス科キス属


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 私の専門領域は、投げ釣りによるシロギス釣りである。
投げ釣り発祥の地である西湘の二宮海岸で、育ちながら覚えた釣りで、彼これ40数年が経つ。
古き時代の頃をときおり書くのだが、すっかり変わってしまった今の環境の中で、何でそんな古い戯言を・・という方がいる。
 しかし、良き時代のことを語らずに居られない訳がある。
何故ならば、釣れないこと、魚が少ないことなどを当然のこととして受け止めてしまっている若者の、その馴らされてしまった姿がおぞましいからだ。

 
 海は元来、もっともっと豊かで、活力に満ちているもの。文明の裏側の矛盾に気付かず発展した20世紀のツケが、地球上で一番広く大きい自然環境の浄化装置である「海」までを汚染し、あらゆる生命体に悪影響を与えている。それらの実態は多くの学者が指摘し、改善に取り組んでいる。
学者先生方は難しく表現するが、多くの釣り人はもっと単純に、しかも正確にその事を理解している筈だ。「魚が釣れなくなった、魚が居なくなった、赤潮が、青潮が、・・まさに環境汚染に違いない」と言ったように。
体験上、海を一番身近に知っているのは釣り人なのだから、そうしたことをヒソヒソと陰で語らずに、もっと声を大にして叫んでみたらどうだろう。
一方、釣り人が環境を破壊していると指摘する声がある。
 確かにマナーの悪さは否めない。
しかし、釣り人が環境破壊をしているなどと、大げさに言われることは無い。
良識ある多くの釣り人は、今や身辺の環境改善に誠意努力し行動している。 
 
 汚染された水の終末処理を担わされた海は、今や瀕死の状態にある。だが、人間の知恵と努力で、時間は掛かろうとも必ずや治癒できる筈だ。
21世紀は地球規模で環境の時代と云われ、わが国でも政経産学が協働してこれに向かいつつある。まだ、それほど関心を持たない釣り人にお願いしたい。
釣り人として出来る行動はあまりにも小さいが、身近なことからでよい、具体の行動をしてほしい。

釣り場にゴミを捨てない。
多量なコマセは撒かない。
不要な殺生はしない。

そんなことから実践してみてほしい。頭で解っていても行動が伴わない・・それでは困るのだ。
しかし、そうした初歩的な入り口に馴染んでさえしまえば、後は自分の家庭や地域、さらには社会システムの中に潜んでいる多くの環境問題に気付くだろう。是非、お互いにがんばって改善の輪を広げて行こうではないか。 


 さて、40数年前の西湘の海はどうだったのだろう。
それは美しく、透明で、シロギスの旬には、40〜50メートルの距離で、平均サイズ20センチ級が、半日釣って30数尾は堅かった。
素もぐりで魚を追いかけたこともある。
背後の斜面は黒松林、砂浜は広く白砂で覆われていた。


今,西湘バイパスが通ってしまった土地には、野バラやハマエンドウ、ハマヒルガオやボウフが咲き、秋グミや野ブドウが実っていた。そしてチドリやアオジなど多くの小鳥達が巣造りし、声高らかにさえずっていた。
そんな釣りを今思い出す。
 若者たちよ!これからは少しずつ満足した釣りが出来るようになるだろう。
 しかし、それを単に偶然だと喜ばず、自分が行動した見返りだと考えるようにしてほしい。
あなた方が還暦に達し、あなた方の子供たちや孫たちが釣りをする頃には、私自身が楽しめた古き良き時代以上に、素晴らしい釣りが出来るようになるだろう。
傷付き、老いてしまった母なる海には、愛を持って報い、若返えさせてあげたい。
ずうっと永遠に、魚との戯れが続けられるように・・これからも努力したい。

カテゴリー: シロギス タグ:

アジの基礎知識

2008 年 9 月 10 日 Comments off
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神奈川県茅ヶ崎市在住の服部善郎氏が秋のアジの基礎知識をお届け致します。!

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スズキ目 アジ科 マアジ属

陸からも沖からも周年楽しめるアジ。ビギナーでも手軽に釣れるとあって、全国的に人気魚だ。グルメ度も一級。

ヒラアジ、シマアジ、カンパチ、ヒラマサ、ブリといった10kgから収受キロ数十kgに及び巨大種からカイワリ、ムロアジ、マアジなど50cmに満たない小型種まで、アジの一族は日本近海だけでも50種ほどいる。 

しかし、一般的に釣り人の間で単にアジ釣りといえば、「マアジ」を指す。 アジの仲間にはヒラアジ、カンパチにしろ、いずれもハリに掛かると猛烈なスピードとパワー、そして疲れを知らぬスタミナでアングラーを翻弄する。 そして最高の食味・・・・。釣魚の評価を決める”ファイト性””ルックス””食味”の三拍子揃った第一級の相手ばかりだ。

 そのなかでマアジは最大でも60cmの小魚だが、東北から九州にかけて内湾から外洋まで、実に広範囲な釣り場で親しまれ、多彩な釣りを手軽に楽しめうえ、グルメ度も上々とあって、やはり第一級の釣魚といえる。 このマアジも釣り人はサイズ15cm以下は「小アジ」、15〜30cmクラスを「中アジ」、それ以上を「大アジ」と呼ぶが、さらに沖の潮通しの良い海に群れる背が黒っぱく、スレンダーなアジを「ノドグロ」「クロアジ」。沿岸に近い浅い海を主な生息圏とする体高があって白っぽいアジを「キアジ」と呼び、食味ではキアジが勝るという。 小魚だが、マアジのプロポーションはシャープで細く丈夫な尾柄と叉状に切れ込んだ尾鰭が挽きの強さを誇示している。

  典型的なプランクトン・イーターで口唇をいっぱいに開いてプランクトンを摂取するが、シラスや小エビ、大型のノドグロアジはカタクチイワシまで捕らえる。

 春から初夏の頃生まれた稚魚は内湾の環境のよい浅場で生活し、やがて沖の岩礁や魚礁、沈船などの底層で群棲する。 なを、ハリスが縮れると釣れ具合が極端に悪くなるので目はよく利く魚といえる。 このマアジは、丘からでも沖でも釣れ、全国的に多種多彩な釣技が伝わっている。大きく分けると陸釣りはウキ釣りとサビキ釣り。沖釣りもサビキ釣りとビシ釣りの2系統。いずれの釣り方もマアジ釣りのコツは次の通りだ。

 

 <コマセ> 

コマセの撒き方、つめ替えの頻度がこの釣りの成績を左右する。 全国的に冷凍アミとイワシなどのミンチは多用されており、アミは主として小・中アジ釣りに威力は発揮するサビキ釣りに、魚肉のミンチはビシ釣りで使う。 アミはプラスチック製のサブマリン・タイプやロケット、ステンレス筒型などの撒餌具につめて海底に送り込む。 撒餌具はミチ糸に直結し、下にクッションゴムを介してサビキ仕掛け。先端にオモリという構成と、ミチ糸→サビキ→オモリ付き撒餌具という「逆サビキ・スタイル」の2つの装着方法がある。 逆サビキは魚の泳層が低い時に有効だが、起伏が激しい釣り場では、根がかり率が高くなるマイナス面もある。 瀬戸内海方面はほとんどが逆サビキ派だ。 いずれのスタイルもオモリが着底したら竿を30〜40cm幅で鋭くあおってコマセを撒く。次いでゆっくりと竿を立てて、サビキをコマセに中へ誘い入れる。

 こうして底から1〜3,4mの層を探る間に3回ほどコマセを撒く。 ビシ釣りの撒餌具 は俗に行燈(アンドン)ビシと呼ばれ、下部がオモリ、上部は金網でできている。 ミンチの挽き具合で網目の大きさを変えるが、固めのペースト状で多少粗い粒が混じっている程度のミンチなら網目は11番。全体的に粗挽きのミンチなら網目の大きさは9番。 なを、アンドンビシの泣き所といえるコマセによる目詰まりを解消した新しいタイプのクリーンビシも悪くない。

 重量はいずれも130〜150号。 ビシ釣りの場合、コマセは一気に「ドバッ」と撒くと、流れ出したコマセについてアジの群は仕掛けから離れてしまう。基本は「トロトロ」と絶え間なく撒くことだ。 また、ビシいっぱいにコマセを詰め込むと水圧が伝わりにくくなり、”出”が悪いので必ず8分目くらいにする。

 こうして海底まで送り、タナに巻き上げてから、30秒間隔で3回コマセを出して巻き上げた時、コマセが僅かに残っているようならコマセの挽き具合と籠の網目の関係はドンピシャリ。 とにかく、コマセワークは「少しずつ」「トロトロ」が基本だ。


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東 京 湾 の サ ビ キ 釣 り  

内房金谷から保田沖へかけての海域は例年20cm以下の小アジの数釣りが楽しめる海。 オモリ負荷30号3m胴調子竿に中型リール。PE系4号ラインに金属コマセ籠を直結。2mm径30cmのクッションゴム下にミキ糸2〜3号。エダス1〜1.5号8〜15本バリ。デコレーションはハモ皮にチモト糸赤ラッカー塗りなど。オモリは50号前後。 コマセ籠に魚肉ミンチを8分目詰めて底へ。船頭が指示するタナが4mだったら、サビキの長さを計算に入れオモリを2mほど浮かせてから竿をひと振り。次いで竿をゆっくり上げて、海中に流出したコマセの幕の中にサビキを誘い込む。 ククッと竿を小刻みにゆする魚信。そのまま待つうちに複数のハリにアジが掛かり、引く幅は小さいが重さが加わり、竿がしなる。 ここでゆっくりとリーリング。コマセ籠まで巻き上げて鈴なりに掛かったアジを一気に船上へ取り込もう。


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アジ用コマセカゴの種類

今回は、、マアジの基本的特徴と、東京湾のサビキ釣りを紹介させて頂いたが、
釣方は全国各地に様々な方法があり、今後シーズン毎に様々な釣法を紹介していきたいと思う。

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