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クロダイ釣りの基本

2009 年 5 月 5 日 Comments off
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スズキ目タイ科クロダイ属

関西ではチヌと呼ばれる。
多様な釣り場と多彩な技があり、
しかもその奥の深さで、
日本の海釣りでトップクラスの人気魚だ。

神奈川県茅ヶ崎市在住の服部善郎氏がクロダイ釣りの基本をお届け致します。!

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「大胆にして繊細」「好奇心旺盛にして神経質」「素直な反面狡猾」・・・。
 まことにクロダイは、手練手管を弄して純な男を手玉に取る悪女のように強烈な魅力で、アングラーの心をとらえて離さない。
 数ある日本の海の釣魚の中で、クロダイはトップクラスの人気魚なのだ。
 クロダイ(Acanthopagrusschlegeli)は、関東で当歳魚を「チンチン」、2歳魚を「カイズ」(江戸っ子はケーズと呼んで粋がる)、3歳魚以上をクロダイ、老成魚は特に「ネンナシ」と呼ぶ。
 関西では当歳魚を「ババタレ」、2歳魚を「フタツ」、成魚を「チヌ」。中京では幼若魚を「チンタ」。九州では同じく幼若魚を「メイタ」、成魚は「チヌ」の呼称で親しまれ、北海道の南部から九州薩南の島々まで分布している。
 沿岸性の魚で、水深50m以浅の浅海、特に内湾に多く棲息し、河口の汽水域や河川下流の淡水域にまで上るケースも見られる。
 商港や漁港などの埠頭、桟橋、突提、沖提や護岸。湾口部や外海に面した磯。沖の定置網やブイ、養殖棚などの基部。人工漁礁や天然磯周辺の砂底、貝の密生域などが主な生息圏で、マダイほど広範な回遊はしない。
 雑食性で、エビ、カニ、フジツボ、二枚貝、イソメ類、ノリ類からイモ、スイカ、ミカンなど種々雑多なものを口にし、60cm余りに育つ。性質は複雑で、海水浴客の足や、アサリ捕りの舟がマンガで底をかいて舞い上がる砂煙に寄って来るなど好奇心が旺盛な反面、人が堤防を走ると生じる微弱な振動や、夜、ライトの光を少しでも海面に落としたりすると「サッ」と身を隠す神経質な面も併せ持っている。
 また視覚がよいので、潮が澄むと1号程度の細い糸でも警戒してハリを口にしないし、潮が濁っていてもちぢれたハリスなどは”不自然”に映るのか、やはり警戒して餌を敬遠するなど、かなり警戒心が強いはずなのに、投げ釣りの太いハリスの餌に飛びついたり、フクロイソメ(イチョセ)の殻で釣れてしまったり・・・・。意外性を持ち合わせている。 

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タイ科の魚だけに体型はマダイによく似ているが、側扁して吻が尖っている。
 口のサイズは適度で、上下顎に臼歯、顎の前方には2対の円錐歯を持ち、二枚貝など硬い餌も噛み砕く。
 尾柄は丈夫な造りで、尾鰭後縁はやや内に切れ込み、全体的に”整ったフォルム”だ。
体色は背が黒銀、側面がイブシ銀、腹部は白っぽい。個体により差があるが、数本の黒っぽい横縞を持ち、これは幼時ほど鮮明だ。 
 このクロダイの近似種に、「キビレ(キチヌ=Acanthopagrus)」がいる。クロダイより南方系で、本州中部から南に棲息しており、腹鰭、尻鰭と尾鰭の下葉先端部が黄色いこと、体色も全体的に白っぽいことなどでクロダイと見分けがつく。
 習性はクロダイとほぼ同一だが、クロダイ以上に補食は積極的で、釣りやすいといえる。また南西諸島の奄美や琉球列島などには「ミナミクロダイ(Acanthopagrus sivicolus)」がいる。
 姿体はクロダイとそっくりだが、背鰭と側線の間の鱗数が異なるなど、明らかに異種だ。  食性、習性などはクロダイに似ており、沖縄では「チン」、宮古では「ツン」の名で親しまれている。
 水深5から50mくらいの砂底の海に棲息、頭で砂を掘ってエビやイソメ類などを貪欲に補食する。

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チ ン チ ン の フ カ セ 釣 り
 大規模な土地の造成工事などで東京湾のウォーターフロントから”自然”は年々減少しているが、千葉県富津岬から館山に至る内房の海岸線は、自然が比較的良好な状態で保たれている。
 この海に秋風が吹く頃、クロダイの仔、チンチンの群れが岸近くにやって来て9月から11月まで、マニアは南下するチンチンの群れを追って上総湊、竹岡、金谷、保田、勝山、岩井、富浦、館山と釣り歩く。

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磯  釣  り
 
 釣り場は砂地に岩礁などが散在する小磯や堤防など。小磯ではウェーダーを履いて海に立ち込む姿が多く見られる。
 タックルは5.4mの軽量カーボン素材の振り出し渓流竿に1号ミチ糸5m、0.8号70cmと0.4号のハリス40cmをそれぞれ直結。チヌバリ0.5〜0.8号かカイズ6~8号を結び、チモトにガン玉。
 あるいはキス競技用8〜9号(赤焼き)やソデ型8号などの軸長系のハリに0.3~0.5号紙通しオモリを通し、赤染めナイロン撚りり糸の輪をつけた「テンヤ」に仕立てる手もある。
 餌はモエビ、イソメ類で潮が澄み加減ならばモエビ、濁っていればフクロイソメ、イワイソメの細身などが有効だ。
 モエビは尾羽を取って切り口からハリ先を入れ、背側にハリ先を出す。
 また、口から上へ、頭部の薄黒く見える急所を避けてハリを刺す「鼻掛け」もよく用いられる刺し方で、この場合は、尾羽は取らない。
 イソメ類はハリいっぱいに刺して、”たらし”は0.5〜1cmくらい。
 ハリなりに曲げて刺したり、2cm以上も長くたらすのは不可。たらしは0.5cmが標準で、食いが悪い時だけ1cmくらいの長さにする。
 太いイソメは0.5cm幅に輪切りにして使う。潮はソコリから上げ潮にかけて。自分の影に気を付けて竿を振り、餌を沖目に送り込む。
 フワフワと沈むエサのスピードに合わせ、必ずミチ糸に”たるみ”を持たせて竿先を送る。
 餌が底に沈んだら、30cmほど竿先を上げて餌を浮かせ、再びミチ糸をたるませて沈める。
 魚信の多くは、この沈む時に現れる。一定のたるみを保ちながら沈む糸が「止まったり」「横に揺れたり」「ツッ、と速く走ったり」・・・・・。すべて魚信。軽く竿を立てるとチンチンらしいシャープな引きが伝わってくる。
 フカセ釣りのほか、ウキ釣りも面白い。竿はフカセ釣りと一緒で良い。ミチ糸は1.5号。ウキは4号セル玉ウキ、色を変えて2個付けか、ウミタナゴと同じ「シモリ」式でも良い。ミチ糸の長さは竿いっぱい。輪環か自動ハリス止めで0.4~0.6号ハリス40cm。ハリはソデ型6号など。
 餌にはモエビ、細身のイソメ類。ウキ下は底狙い、水深のあるポイントでも”底付近”を探る。

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堤  防  の  釣  り
 堤防の場合は短竿だ。2.1m程度のヘチ竿ニタイコ型リール。1号蛍光ラインに0.4~0.6ごう1mハリス。ハリはカイズ6~8号。ガン玉をチモトに一個。
 餌はモエビ。尻掛けにして堤防すれすれにミチ糸をたるませながら落とし込む。
 カイズ同様にチンチンもカラス貝の付着ゾーンを中心に浮いており、必ずしも一様ではないが、水面から1~1.5mの層を重点的に探る。この層を抜けると後は底だ。
 堤防の落とし込みでは底も重要なポイント。底まで沈めたら3秒ほど待って、ゆっくり30cmほど誘い上げ、再び沈め、魚信がなければ上げて次のポイントへ落とし込む。 
 
 今回の釣り名人は、クロダイ釣りの基本を紹介しました。


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